オバマ大統領最大のレガシー(遺産)は歴史の評価に耐えうるのか。
「医療保険制度改革(オバマケア)の成立後、わが国の医療価格は過去50年間で最も低い伸び率になった」。10月2日、イリノイ州のノースウェスタン大学で講演したオバマ大統領は胸を張った。
今年1月のオバマケア全面施行から10カ月。大統領は徐々に手応えをつかんでいるようだ。当初こそ、政府が開設した医療保険取引所(ウェブサイト)の障害問題に揺れたが、復旧後はオバマケアによる保険加入が順調に拡大。ハーバード大などの推計では、貧困層向け医療扶助(メディケイド)の拡張と合わせ、今年1030万人が無保険状態から脱出した。冒頭のように医療価格抑制も確認され始め、オバマケアは良好な滑り出しを見せている。
オバマケアは今後、拡大し、米国の医療状況を一変させるか。それともどこかで限界にぶつかり、ほころびを見せるのか。その行方は、大統領への将来の評価をも左右する。
中間層でも払えない世界一高価な医療費
先進国で唯一、医療の国民皆保険が存在しない米国。本特集のPART1で中間層の没落と貧困拡大を見てきたが、これに公的皆保険の不備が加わると、中・低所得層の生活は実に悲惨な状況に追い込まれる。
この記事は有料会員限定です。
東洋経済オンライン有料会員にご登録頂くと、週刊東洋経済のバックナンバーやオリジナル記事などが読み放題でご利用頂けます。
- 週刊東洋経済のバックナンバー(PDF版)約1,000冊が読み放題
- 東洋経済のオリジナル記事1,000本以上が読み放題
- おすすめ情報をメルマガでお届け
- 限定セミナーにご招待
無料会員登録はこちら
ログインはこちら