10月に入り、金融市場が動揺している。マインド変化は懸念されるが、実体経済は想像以上に元気だ。
量的緩和は予定どおり終了へ
「米国経済がわれわれの予測どおりに回復し、来年のどこかで利上げが始まるとしたら、ちょっとした興奮を覚えるだろう。たとえ利上げが金融市場で一度や二度の調整を引き起こすとしても、予測どおりの回復というのは、かなりいいニュースだからだ」 米金融政策の中核を担うダドリー・ニューヨーク連銀総裁が10月7日の講演でこう発言したのは、過去数年にわたり、米国の成長率がFRB(米国連邦準備制度理事会)の見通しよりも下振れしてきたためである。ダドリー総裁の発言には、「今度こそ」という思いが込められている。
足元では、欧州経済の失速などを懸念した株価下落が目立つ。その影響は後述するが、米国経済自体の現状を総点検してみると、ダドリー総裁の期待に応えられそうに見える。
雇用、家計、住宅建設…総じて堅調に推移
まず労働市場では、雇用の改善が進展している。失業率は9月に5.9%と6%を割り込み、2008年のリーマンショック前の水準まで戻った。イエレンFRB議長は、長期失業者や、本当はフルタイム職に就きたがっているパート労働者などの問題を注視しているが、そうした問題を考慮した失業率で見ても、着実な雇用改善が見られる(図表1)。
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