一般人が公選法違反? ネット選挙のリスク リツイートも危険、有権者のための注意点

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また、公選法には細かい規定が多くあるが、深澤弁護士は気になっていることがあるという。

「特に気になっているのは、『連絡先の明記のない』選挙運動です。主に、匿名掲示板で散見されますが、ネット選挙においては、メールアドレスなど連絡先の明記が本来は必要です(公選法142条の3第3項)。

ですから、匿名掲示板に連絡先の記載もせずに、『●●候補に投票しよう!』と投稿してはいけません。逆に、匿名であっても、連絡手段が明記されていれば、問題はありません」

選挙当日も「リツイート」には注意

さらに、SNSといえば、有名人の「なりすまし」がよくあるが、候補者の「なりすまし」も起こりうる。

「勝手に候補者名のアカウントを作成してツイートする『なりすまし行為』は禁じられています(公選法235条の5)。また、候補者の発言を自動ツイートする『bot』を作成する行為も『なりすまし行為』として禁じられる可能性が高いでしょう」

投開票当日に気をつける点はあるのだろうか。

「投開票日の選挙運動は禁止されていますが、ネット上でもやってはいけません。また、単に投票を呼びかけるツイートだけでなく、リツイートにも注意が必要です。リツイートであっても、新たに拡散する行為ですので、選挙運動になると考えられるからです。

一方、選挙当日には、ツイッターで「投票してきた!」という投稿をよく見かけます。こちらは、特定の候補への投票を呼びかけるものではないので問題ありません」

さらに、深澤弁護士は次のように注意を喚起していた。

「インターネットそのものの影響力がそうであったように、今後、ネット選挙が投票行動に与える影響は大きくなりこそすれ、小さくなることはないでしょう。影響力が大きくなるにつれ、取り締まりが厳しくなったり、あるいは候補者からの法的措置が多くなることも予想されます。

一般市民が知らずに公選法違反をしてしまうことで、法律問題に巻き込まれてしまわないか、利用者全員が注意することが必要であると思います」

深澤 諭史(ふかざわ・さとし)弁護士
ネットやコンピューターにまつわる法律事件を中心に取り扱う。ネット選挙の法務では関係者向けの講演などを実施。近著に「その『つぶやき』は犯罪です(共著、新潮新書)」がある。
事務所名:服部啓法律事務所
 
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