なぜ中国からはノーベル賞が出ないのか

ビジネス面から見える、技術軽視国家の弱点

中国人科学者が特に劣っている、などということは考えられない。むしろ逆だろう。多くの中国人科学者たちが米国に渡り、その中からでも何人かのノーベル賞受賞に値する研究者はいるはずである。

にもかかわらず、いまだに科学分野のノーベル賞受賞者がゼロというのは、なにか中国の学会や教育制度もしくは制度的な欠陥があるのかもしれない。中国の産業界や経済界での近年の躍進は、まさに目を見張るものがある。だが、残念ながらこと学術的な基礎研究の分野では、日本の足元にも及ばないのではないか(日本も決して盤石などというつもりはサラサラない)。

基礎研究を軽く見る風土、コピーの罪悪感なお薄い

これは中国ビジネスに携わる者ならすぐに実感することだが、中国の技術の現場では「海外から機械さえ導入すれば良い品質の製品が勝手にできる」と本気で考えている経営者が、まだ少なくない。中国では、技術は「お金を出して、教えてもらえれば、簡単に入手できる」と発想するのが一般的だ。

確かに、この10年間、中国の技術は、外国からの最新設備の導入で驚くほど発展した。だが、裏を返せば、設備投資さえ実行すれば、いくらでも売れたので、極端な話をすれば、苦労して創意工夫をする必要などは少なかった。前述のように、現場を軽く見ているから、基礎的な技術体験を軽んじたまま、リーダーになった技術者が多いのである。基礎研究を幾らやっても上に上がれないのだから、現場力が発揮できないのは仕方のないことだ。

私の会社(AMJ)の営業マンは外国人と日本人の比率が半々である。今年は若手社員の採用に私自身が1カ月かけて採用面接をした。特に中国語が仕事で必要なケースが多いので中国人社員の採用には注力した。採用試験を受けてくれた応募者は多士済々だった。一方、格好ばかりで内容のない応募者も少なくなかったが、一番気になったのは論文テストに平気で他人の論文をコピーしている中国人の応募者がいたことだ。

日本でも世界でも、昨今コピーは頭の痛い問題だが、中国人の友人から聞いたことがあるが、中国ではおカネさえ出せば偽造の卒業証書も成績表でも手に入るという。パクっても恥ずかしいという観念がない人が少なくないわけで、こうしたことには驚きを禁じ得ない。もちろん学歴詐称などは、まじめな中国人にとっては迷惑千万で、話にならないが、中国にはそういう土壌があることも事実である。

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