安河内:TOEIC Bridgeという名称は、映画「ジョーズ」がヒットしたから、次回作も「ジョーズ」を使って「ジョーズ2」にしたほうが売れるというような考え方に思えます。ホントは違った内容の映画だけど、1本目のヒット作の名称にあやかったほうが売れるんじゃないかという下心が少し働いていた気がします。
千田:結果としては、思ったほどヒットしなかった。“ジョーズ”ではなかった……ということですか?
TOEIC Bridgeを採用すべき企業や職種とは?
安河内:アハハ。Bridgeは名称はジョーズではなくても、内容はすごくいいテストだと思います。TOEICテストよりもさらにいい。
千田:私もTOEIC Bridgeは日本人のレベルに合った、いちばんいいテストだと思っています。TOEICテストと比べると、リスニングの音声は4分の3ほどのピードで、試験時間も1時間と半分で済みます。出てくる語彙のレベルもひとつ落ちますね。
安河内:でも、さほど専門性の高くない職場などで、最低限の英語コミュニケーションを行うのであれば、ちょうどいいですよね?
千田:最適ですね。たとえば、ある大手自動車メーカーでは、工場勤務の技術系社員が受けたりしています。あるいは、高卒、高専卒、理系の人などね。エンジニア系で英語大嫌いなんて人も受けています。
安河内:高度なレベルの英語は必要でない人もいますからね。国内業務と国際部門で働いている人を比べたら、必要な英語の次元は全然違います。エンジニアとしての技量があれば、求められる英語はベーシックでOKとか、人によって要求される英語の能力は違います。
だから、TOEICテストで一本化とかTOEFLで一本化とか、大きな尺度で全員を一緒くたにして推し量ろうというのは、無理な話なのです。受験でも社会人でも、複数のレベルのテストを、さまざまな対象で、きめ細かく使い分けることが必要です。社会人に関して言えば、TOEICテストだけに一本化されているのが大きな問題です。
千田:「みんながTOEICテストやっているから、ウチもTOEICテスト」というのは非常に不自然です。TOEIC Bridgeを受けたほうがいい企業や職種は、たくさんあります。
TOEICに替わるテストが出現する可能性も!?
安河内:TOEICテストを日本でマネージするIIBCのみなさんにも、強調したいことは、「これまでもいろんなテストが世界で栄枯盛衰を繰り返してきた」ということです。世界的に見ると、今はTOEFLよりもIELTS(International English Language Testing System)のほうが受験者の数が多くなっていますね。IELTSなんて少し前までは誰も知らないテストだったのにね。
そんな中で、英語のテスト機関として、この先10年、20年後もトップであり続けるためには、受験者数はもちろん大事ですが、ポジティブなウォッシュバック効果を与える方法まで考えていただければと思います。つまり、日本の英語学習をよくする、日本のグローバル化を推進するという課題を真っ先に掲げながら、「よい影響を与えるテスト作り」を追求していっていただきたい。そうすれば、TOEICはずっとトップであり続けられると思うのです。
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