ギフトの受け取りは、普段、ほかのコンビニを利用する人にとっても大きな来店動機になります。ローソンとしては「ついで買い」が大いに期待できます。「からあげクン」と一緒におにぎり、パスタ、飲み物などを買うことは十分ありうるでしょう。
「モノ」よりも、気遣ってくれる「コト」に感激
冒頭で、フォーマルギフトが縮小しカジュアルギフトが拡大した背景として、「贈るキモチ」が変わってきたことを指摘しました。
なぜ、そうしたことが生じたのでしょうか。そこには消費者の価値観が「モノ」から「コト」へと変わってきたことがあると思います。成熟した日本では、生きていくうえで必要な「モノ」はほとんど充足された状態であることから、消費者の価値観は、経験や体験、サービスなど、目に見えない価値である「コト」に移行しているのです。
SNSの拡大により、20代・30代を中心に、友人・知人との接点や接触頻度は著しく増加しています。SNSを通じて友人・知人の趣味や近況を知ることも多くなっています。そのため、あらたまって「形式的・儀礼的に贈るギフト」よりも、趣味や近況に応じて「相手が喜ぶギフトを、相手が喜ぶタイミングで贈ること」が求められるようになってきたのです。
たとえば、Facebookのタイムラインで誕生日・記念日を知ったタイミングで贈るギフト、スポーツなどの大会で表彰されたタイミングで贈るギフト、仕事で毎日帰宅が遅い友人に対するねぎらいのギフト……。「自分を知ってくれている」「気遣ってギフトを贈ってくれる」、そうした「コト」に、贈る側ももらう側も大きな楽しみと満足感を感じるようになってきたのです。
マーケティングの重要なカギになる
SNSを使いこなし、友人・知人と頻繁に接触する世代が増加していくことから、ソーシャルギフトも拡大していくことでしょう。
企業にとっては「オンラインから店舗への誘導(O2Oマーケティング)」を手始めに、「ファン作り」「新規顧客開拓」などを進める有効な手段になります。ソーシャルギフトは、「消費者のキモチ」を切り口とした新たなマーケティングの仕組みとして、今後、発展していく可能性を秘めています。
実際、多様化するカジュアルギフトにおいて、「何を、いつ、どのように」プレゼントすべきかを支援する「ギフト選びサポート」(シーン・関係性・所在地などによる適切なリコメンド)のようなサービスがすでに登場しています。
さらに、こうしたチャネルを通じて収集された「消費者のキモチ」に関する情報は、ギフトになりうるモノやサービスの提供企業にとっては、マーケティングを進めるうえで非常に有用な情報になります。企業にとって、ソーシャルギフトの有効活用はマーケティング上、重要性を増してくると考えられます。
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