バナナ自動販売機に学ぶ「AIDMA補完計画」《それゆけ!カナモリさん》
■バナナ自販機の野望
消費者が商品を認知してから購買に至るまでの態度変容を表すモデルに、「AIDMA」がある。注意(Attention)→興味(Interest)→欲求(Desire)→記憶(Memory)→購買行動(Action)である。「Doleマン」のCMは面白い。テレビで目にすれば、確実に目が引き寄せられるし、興味も湧く。何度か見れば、しっかり記憶にも残る。しかし、自らとバナナの「接点」がなければ購買(Action)には至らない。故に、スーパーに行かない・いけない人との購買接点として「バナナ自動販売機」は機能する。
しかし、数台の自動販売機でカバーできるターゲットは限られている。ましてやバナナは生ものだ。輸入→袋詰め→自販機に配荷→販売というバリューチェーン(VC)の中で、加工度を高めて付加価値を上げる部分は袋詰めだけで、利益率は高くないと考えられる。生もの故に、廃棄率も低くないだろう。自販機の設置・維持費を考えれば、1本130円の販売価格はよくてトントンぐらいではないか。では、何のために自販機を展開するのか。
「Doleマン」のCMを起点とした上記のAIDMAを見ると、欲求(Desire:購買欲求)がスッポリ抜けていることがわかる。欲求が起こらなければ、コンビニやスターバックスでバナナを見ても手にとって購入することはない。
ダイエットという特殊な購買理由を持った層。そして、筆者以上の世代に多い、バナナが貴重品であった経験から、日常的にありがたく食べる層やその家族にとっては、バナナは身近な存在だ。しかし、バナナから縁遠くなってしまっている層にとっては、自らが「購入する」という行動を起こすこと自体が認識の範疇になくなる。「Doleマン」はあくまで、テレビCMのコンテンツの一つとして消費されていて、認知はされても、欲求を喚起することはない。
バナナ自動販売機の重要な役割。それは、バナナと縁遠くなっている層に、「そういえば、バナナ買って食べてもいいな」と「自分のこと」として注意を喚起し、購買欲求を起こさせることなのだ。
バナナ自動販売機が話題となってメディアやツイッタ-、ブログで取り上げられる。注意(Attention)→バナナ自動販売機という存在が面白く、興味(Interest)を持つ→いろいろな人が買っているという報道・情報に触れることによって、自分も機会があれば購入してみようという欲求(Desire)を持って、記憶(Memory)する→自販機に接触しなくとも、コンビニやスタバ、もしくは久々にスーパーに行った時、バナナが目に触れて購入する(Action)。
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