バナナ自動販売機に学ぶ「AIDMA補完計画」《それゆけ!カナモリさん》

 消費者に向けて、広告という刺激を与えること。自動販売機という購買接点を展開すること。それぞれを単発で行っても最後の購買行動まで誘導することができなければ、商売としては完結しない。また、限定的な購買接点(自動販売機)だけでなく、様々な接点に向かわせる方が販売を完結できる可能性が高くなる。つまり、「バナナの自動販売機」は、広告だけでカバーできないターゲット層の購買を喚起するためのAIDMAを補完する機能を担っているのではないか。

 2010年9月6日付日食外食レストラン新聞の記事では、渋谷ではバナナを購入するだけでなく、携帯電話で珍しい自販機を撮影して写メールを送る若者の姿も多く見られると報じ、「日本の1人当たりの果物消費量は、アメリカ人1人当たりの約半分」と、ドール・マーケティング部のコメントを紹介している。

 アメリカなど欧米では、リンゴやバナナをランチに食べる姿を当たり前のようによく見かける。日本の消費者にも、同じような習慣が身につけば、バナナ市場はこれからも拡大の一途をたどるはず。ドールは今後学校やオフィスにも自販機を導入する予定といい、日本特有の“自販機カルチャー”をうまく使いながら、日本人のバナナに対する認知や、食習慣を、変えていくことにチャレンジしているようにも見える。ハードルは高いが、面白い挑戦だ。

《プロフィール》
金森努(かなもり・つとむ)
東洋大学経営法学科卒。大手コールセンターに入社。本当の「顧客の生の声」に触れ、マーケティング・コミュニケーションの世界に魅了されてこの道18年。コンサルティング事務所、大手広告代理店ダイレクトマーケティング関連会社を経て、2005年独立起業。青山学院大学経済学部非常勤講師としてベンチャー・マーケティング論も担当。
共著書「CS経営のための電話活用術」(誠文堂新光社)「思考停止企業」(ダイヤモンド社)。
「日経BizPlus」などのウェブサイト・「販促会議」など雑誌への連載、講演・各メディアへの出演多数。一貫してマーケティングにおける「顧客視点」の重要性を説く。
◆この記事は、「GLOBIS.JP」に2010年11月26日に掲載された記事を、東洋経済オンラインの読者向けに再構成したものです。
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