カルビーが小売店運営に進出するワケは何だ?《それゆけ!カナモリさん》
■カルビーのアンテナショップ
10月21日付日本経済新聞企業2面に、「カルビー、小売店運営 3年で15店、限定品など販売 ニーズ探り開発に活用」という3段19行の比較的小さな記事が掲載された。しかし、これは単なる「アンテナショップ開店」というだけでない、大きな動きが感じられる。記事によれば、カルビーは、アンテナ店としての役割を担うという店舗を、来年に都内で1号店を開業し、3年内に繁華街や商業施設に約15店を出店、京都などの地方都市も計画しているという。
店舗規模としては、広さ平均50~70平方メートルであるというが、1店当り売上げは初年度は1億円を見込むということなので、かなりアグレッシブな計画であることがわかる。
品揃えは、北海道だけで限定販売するスナック菓子「じゃがポックル」など約25種類の地域限定商品を中心に売る。店舗ごとの限定品を開発するほか、全国のスーパーなどで売る新商品を発売前に並べる。店内調理したポテトやドリンクも提供する。
「現地でしか買えない」「本来、まだ買えない」という商品を買い求めようとする購入客は、情報感度が高く、商品カテゴリに関心度が高い層であることは間違いない。そうした顧客の購買行動、商品の売れ行き、意見の収集をすることがまさにアンテナショップとしての役割である。
もう1つポイントになるのは「店内調理したポテト」という点で、その材料は、カルビーの子会社で、ジャガイモの安定供給を図るために1980年に分離独立した、原料部門のカルビーポテト株式会社が担うと思われる。同社は菓子原料だけでなく1996年より小売向け青果用ジャガイモの販売も開始しており、袋詰のパッケージに「カルビー」と書かれたジャガイモがスーパーで目にされることもあるはずだ。
店内調理メニューまで販売することで菓子に加工される前のイモの味わいなどに関する顧客の声を収集し、広範に製品開発のヒントを収集しようという意図も見える。
ただ、カルビーが狙っているのは、「情報収集機能」だけではない。「情報発信機能」も重要視しているのは間違いない。
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