カルビーが小売店運営に進出するワケは何だ?《それゆけ!カナモリさん》

 CMでチャネルへのアピールはできても、前述の通り、昨今消費者のCMへの関心度低下は否めない。そこで、ネットでの口コミ拡大による消費者の指名買いに期待が高まる。

 15という店舗数は、単なるアンテナショップとしてはかなり大規模であるといえるだろう。ともすれば、数を多くすることは通常の販売チャネルのでの購入とカニバリ(共食い)を引き起こし、チャネルからの反発を起こしかねない。しかし、口コミの規模拡大を狙うのであれば、消費者の接触ポイントを拡大する必要がある。そのギリギリのラインが15店舗という判断なのではないだろうか。また、「京都」という都市は、修学旅行の若者を中心として主要ターゲット層と効率的に接触できる選択であるといえるだろう。

  15店舗という規模のアンテナショップで、年間1億円の売上げで運営しようという意図は、カルビーが「ニーズ発掘機能」と「口コミ発信機能」という情報の受発信拠点を、CMなどのマーケティング・コミュニケーション予算に全額アドオンして運営するのではなく、自主独立して機能する「しくみ」として位置づけようという意図も感じられる。

 日経新聞の小さな記事から推測すると、カルビーは急速に変化する消費者のニーズ、販売チャネルの環境、コミュニケーションの効果・効率といった大きな問題に今回の施策でチャレンジしようとしていると思われる。開業日を迎えてこの目で見られる日が待ち遠しい。

《プロフィール》
金森努(かなもり・つとむ)
東洋大学経営法学科卒。大手コールセンターに入社。本当の「顧客の生の声」に触れ、マーケティング・コミュニケーションの世界に魅了されてこの道18年。コンサルティング事務所、大手広告代理店ダイレクトマーケティング関連会社を経て、2005年独立起業。青山学院大学経済学部非常勤講師としてベンチャー・マーケティング論も担当。
共著書「CS経営のための電話活用術」(誠文堂新光社)「思考停止企業」(ダイヤモンド社)。
「日経BizPlus」などのウェブサイト・「販促会議」など雑誌への連載、講演・各メディアへの出演多数。一貫してマーケティングにおける「顧客視点」の重要性を説く。
◆この記事は、「GLOBIS.JP」に2010年10月22日に掲載された記事を、東洋経済オンラインの読者向けに再構成したものです。
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