イオン、格安タブレット投入の思惑 見た目は「Surface」そっくり?

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一方、第4弾の格安スマホは12月5日の発売予定で、月額2880円で利用できる(端末代金は1530円×24カ月。通信サービスは1350円)。端末は4.5インチサイズの富士通製スマホだ。イオンはこれまで、韓国LG電子やジェネシスホールディングス(千代田区)、TCTモバイル(中国)の端末を扱ってきた。それぞれ海外で製造されたモデルだが、今回は「日本製」を前面にアピールし、顧客拡大を狙う。

今回、イオンは端末の企画段階から参加した。こだわったのは、画面の大きさからバッテリーの持ち、シニア世代にとっても使いやすいユーザーインターフェースなど。富士通側は以前から販売するシニア向け「らくらくスマホ」のノウハウを生かして開発した。

ファミリー層の取り込みも視野

イオンリテールの橋本氏は、「第1弾からメインの顧客は55歳以上のシニア世代。富士通の端末はこの世代の方々に人気がある。視野角が広く見やすいディスプレーやバッテリー、防水防塵機能、充電台をつけるなど、こだわっている」と説明。当面はイオンの独占販売だが、販売台数(非公表)が限定的なため、一定期間を経過した後は他社からも販売される見通しだ。一方の通信サービスはビッグローブのデータ通信量1ギガバイトのLTE対応プラン(1350円、音声通話も対応)を組み合わせた。

これまで「イオンスマホ」として商品を投入してきたが、タブレットも加わったことで「イオンモバイル」のブランド名で販売していく。「安いからといって、1機種しかないのはダメだ。価格やデータ量のニーズに合わせて選べるようにしたい」と橋本氏は話す。

イオンは55歳以上の顧客をターゲットに格安スマホを展開してきたが、この日橋本氏からは「われわれの主力顧客は55歳以上の世代とファミリー層」との言葉も聞かれた。今後は大手携帯会社が展開するように、ファミリー向けの料金プランや子供向け端末、さらにはNTTの光回線のサービス卸を導入し、光回線とスマホを合わせたセット割引の導入なども考えられそうだ。

目下、大型スマホが登場したことなどもあってタブレット端末市場は伸び悩んでいるともされる。シニア世代開拓の実績を持つイオンが本格参入することで利用者の裾野が広がるか注目される。

田邉 佳介 東洋経済 記者

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たなべ けいすけ / Keisuke Tanabe

2007年入社。流通業界や株式投資雑誌の編集部、モバイル、ネット、メディア、観光・ホテル、食品担当を経て、現在は物流や音楽業界を取材。

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