受け身、言い訳、小出しでは世界に通用しない--『国家の命運』を書いた薮中三十二氏(外務省顧問)に聞く

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──領土問題にもロジックがない?

尖閣諸島は自国の領土・領海の問題なのだから、それを守る手立てを考えるべき。そのうえで国際的な協調もしながら、中国ときちんとした向き合い方をしていく。

東シナ海でのガス田合意は私自身が手掛けた。今は条約にする作業だけが滞っている。合意は日中が首脳レベルで確認している。従来からの日本の主張に合致したものなので、大もとの合意を風化させてはいけない。維持し、確認し続ける。それを壊そうという勢力は中国の中にある。それに乗せられてはいけない。

──竹島はどうですか。

竹島は領土問題。日韓漁業交渉のポイントは、竹島は領海しか持ってないこと。排他的経済水域を持たず、それで解決した。これは一つの知恵だ。それを見直そうと言ってきたが、それは避けたほうがいい。

──TPPについては。

本格交渉国になっていなければ、これだけは押さえておきたいというポイントは取れない。協定ができてから入るのでは、日本は有利な交渉結果を勝ち取ることはできない。

──農業が焦点になります。

本当に大事なのは農業を単に守るだけではなくて、農業政策が日本のためになっているのかどうか、あらためて検証すること。そのうえで、本当に大事な農業を手当てする。ウルグアイラウンドのときの大失敗を繰り返さない。あのときの6兆円はどうなったのか。農業の活性化とはぜんぜん関係のない使われ方をした。

──私案としては。

コメは守る。国内でも高いほうが売れる。やり方次第で、もっと競争力をつけることができるはず。そのためには企業農家的なやり方を考えないといけない。野菜や果物にも競争力はある。

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