受け身、言い訳、小出しでは世界に通用しない--『国家の命運』を書いた薮中三十二氏(外務省顧問)に聞く

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──外交のプロとして、それではいけないと。

職業柄、世界の今の国際的な関心事は何であり、どうせねばならないか、をつねに考えてきた。それも、国際社会においてどういう相場観で日本が自分のことを考え、この東アジアでどうやってリーダーシップを執るのか、ロジックを持って話を進めてきた。

──そこで言う相場観とは。

国際的に今どんな状況になっていて、大きな流れの中で何が大事で、そこで日本がどう振る舞わなければならないのか、を見極めることだ。日本の中にいると、往々にしてある日本的なイシューの一点集中主義になる。それは外交をやる際に大きなプレッシャーとなってくるときがある。

──たとえば尖閣沖での衝突事件ではどうですか。

関心がビデオ映像になったり、誰が流出させたかになったり、その時々でそのことだけに集中する。今回の問題を大きな目でとらえて、中国の海洋進出という構図の中で、東シナ海、南シナ海で何が起きていて、中国は何をしようとしているのか、周りのアジア諸国はそれをどう見ていて、その中で日本としての立ち位置からどう主張するのが国益のためになるか、判断することだ。

──もう一つ、ロジックを持って話を進めるとは。

ロジックを持って果敢に主張することだ。日本人はこれが苦手で、それは外交交渉だけでなく、全般に当てはまるのではないか。ロジックを持って論じると、日本人の間では、あいつは理屈っぽくて口やかましい、となる。日本ではネガティブに扱われるが、英語ではむしろ当たり前のことだ。

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