中国人も熱狂、高倉健さんの「生きる流儀」 「プロフェッショナル 仕事の流儀」を見て思う

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最近、ちまたでよく言われている「ワーク・ライフ・バランス」などとは無縁。「仕事もプライベートも充実させて器用に生きよう」と喧伝される世の中で、プロフェッショナルたちは、愚直で不器用。それでもひとつのことに懸ければ、トップになれるのです。

高倉健さんの回をご覧になった方ならご存じだと思いますが、高倉さんの日常はとにかくストイック。現場では座らないで立っている。体を鍛える。ウォーキングを欠かさない。食べ物に気を遣う。酒・タバコはいっさいやらない。それでいて、ロケ現場に見学にきた人たちや撮影スタッフには、限りなく気を遣う。自分には厳しく、他人には優しい。

過去には、3年間、ほかの仕事を入れずに「八甲田山」に集中。おカネがなくなりマンションやベンツを売り払う。雪山で凍傷になっても文句を言わない。40歳で離婚してからは独身を貫く。そして、肉親の葬式には参列したことがない……。葬式に行かなかった理由について、番組内で次のようにおっしゃっていました。

「今、考えたらね、肉親の葬式、誰も行ってませんよ。それはけっこう自分に課してる。オレはそれで撮影中止にしてもらったことはないよっていう……オレの中では、それはね、プライドですね」(「プロフェッショナル 仕事の流儀」)。

このドキュメンタリーを見て、筆者は、カメラで撮影しているかぎり、いつでもどこでも高倉健なのだということに気づきました。映画であろうが、密着ドキュメンタリーであろうが、高倉さんは高倉さんを演じている。

以前、俳優のメリル・ストリープさんがバーナード大学の講演で「私はカメラの前ではメリル・ストリープを演じているのです」と言っていましたが、高倉さんもやはり生涯、高倉健を演じていたのではないかと思います。それがプロの流儀だと思っていたからこそ、プライベートは明かさず、テレビにもほとんど出演しなかったのかもしれません。

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