「ピーマン嫌い」にみじん切りで挑む親の深刻盲点 調理の工夫は根本的な解決にならない納得の理由

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発達障害の子どもや偏食などの研究をしている東京学芸大学の髙橋智教授(肩書は放送時)は、NHKニュース「おはよう日本『子どもの〝偏食〞実態明らかに』」の中で次のようにコメントしています。

「従来は〝好き嫌い〞〝わがまま〞と言われがちな問題だったが、これは生理学的な問題。そもそも食に対する見え方の問題や、口に入れた感じ、中にはうまく咀嚼(そしゃく)ができなかったり、飲み込みが困難な方がいて、そういった特性や身体的な問題が、食の困難・偏食を大きく規定している」(2017年4月5日放送)

特に小さいお子さんの場合は、好き嫌いや偏食は「感覚の問題」に起因することが少なくありません。

子どもを追い詰めてしまっては本末転倒

《Q3 好き嫌いをしていると栄養失調になる?》

3問目の答えも「×」です。

わが子の食に悩む保護者の方が一番不安に思うのが、栄養面ですよね。でも誤解を恐れずに言うならば、好き嫌いがあっても、栄養失調にはなりません。これまで3000人以上のカウンセリングを行ってきたなかでも、小食や偏食による栄養失調で病気になってしまったお子さんを、私は見ていません。

それでも不安な方は、次の2点を基準に、お子さんの栄養が不足しているかどうかをチェックしてみましょう。

1つは「成長曲線」です。大切なのは「身長と体重が平均値かどうか」ではありません。ここでは、お子さんの身長と体重が、それぞれ平均値からどの程度離れているか(SD値)を見ます。SD値についてはこちらのページでわかりやすく解説されています。

2つ目は厚生労働省が公表している『日本人の食事摂取基準』の「推定エネルギー必要量」です。摂取基準が必ずしも満たされている必要はなく、7割以上が満たされていて、なおかつお子さんが元気そうなら、基本的には栄養失調の心配はないと思ってください。

この2つの基準でお子さんの栄養状態を見ると、ほとんどの方は「問題ない」と判断できるのではないでしょうか。

お子さんが食べないことで栄養面の心配をするのが親心です。しかし、その親心がお子さんを追い詰めてしまっては本末転倒。まずは「食べないと栄養が不足する!」という焦りを手放しましょう。そうすることで〝食卓が楽しくなるコミュニケーション〞がよりスムーズに進んでいくはずです。

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