ウクライナ戦争、身動き取れぬ中国が決断する日 あいまいな態度の裏にあるロシアとの複雑な関係

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習近平国家主席との電話会談に臨むバイデン大統領(写真:AFP=時事)

はたから見ても中国が今、身動きが取れず様子見を決め込んでいることは明らかだ。何事にも独自の理論を展開し、周囲の事情など顧みることなく自国の利益を強引に追求する中国が、ウクライナ戦争に関してはほとんど動かない日々を送っている。

ウクライナで膠着状態が続く3月18日、アメリカのバイデン大統領は中国の習近平国家主席に電話会談で、もしも中国がロシアを支援した場合、「それがもたらす影響と結果を詳しく説明した」という。つまり、ロシアの求めに応じて中国が経済的、軍事的な支援をすれば、中国もロシア同様に経済制裁を受けるぞ、という脅しである。

これに対し習近平氏が会談でどう応じたかは知る由もないが、中国政府の公表文書は、「ロシアとウクライナの対話と交渉を共同で支援する必要がある」などと当たり障りのない内容にとどまっている。

ウクライナとロシアの間で続く交渉の行方が最も重要なことは言うまでもないが、同時に世界が注目しているのが表舞台に出てこようとしない中国の動きである。

ロシアの行為に極力言及しない

ロシアの侵略が短期間で片付くという見通しでも持っていたのか、中国メディアは当初は「アメリカが人口1.4億人のロシアを世界から孤立した島に押し込むことは不可能。そうしようとすることは世界の分裂と対立を招く」「ワシントンは混乱の源として行動するのではなく、特別な責任を取るべきだ」(環球時報)などと、ウクライナに侵略したロシアではなく、お門違いのアメリカ批判を繰り返していた。中国外交部の記者会見もやはりアメリカやNATO批判に力点を置き、ロシアへの言及を避け続けていた。

141カ国の圧倒的多数の賛成で「ロシア非難決議」を議決した国連総会の緊急特別会合で中国は棄権票を投じた。中国の演説は「緊張を悪化させるアプローチを拒否し、継続的な人道的努力に対する支持を表明する」「すべての国の主権と領土保全が支持されなければならない」「冷戦は終わった。新しい冷戦を掻き立てることから何も得られない」など、やはり意味不明の内容だった。

ロシアの侵略を公式に支持することはできない。だからと言ってロシアを切り捨てることもできないから、ロシアの行為については極力、言及しない。一方で東方拡大を続けたNATOやその中心にいるアメリカは批判する。かといって欧米に対して何か行動するわけでもない。中国がこうしたわかりにくい行動をするにはそれなりの理由がある。

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