次のМ&Aでは、癒やしとオーガニックを取り込む


 --カネボウ化粧品買収から2年。次はどこを買いますか。ライバルのライオンは中外製薬から大衆薬を買収して力を入れています。候補リストに薬品はありますか? 
 
 今の時点では、われわれが考えるヘルスケアの基本的な領域の中に医薬品は入っていないんですよね。花王は単なるゾロ品(類似薬)はやらない。商品というモノを出すからには技術に基づいた独自性があるものを出したいというのが、会社の理念です。むしろこれから伸びてくるセルフメディケーションの分野でいくと、常飲常食の中でより健康になれるとか、そういう世界のほうがいい。そこは市場も大きくなる。販売チャネルやマーケティングにしてもわれわれの方向性と合ってきます。そうなると、医薬品はむしろどんどん遠くなっていくと思うんですよね。そもそも3年前にヘルスケアリサーチセンターを作って、ヘルスケアの研究に力を入れていこうという方針でずっと来ている。
 
 --そうなると次の買収候補は?
 
 やはりビューティケア。欧米でこれから大きくなろうとしているところで、独自のブランドを持っているところですね。たとえば、(05年に)英モルトンブラウンを買収した。これは昔からあるカウンセリング型のプレステージ化粧品ではなくて、比較的新しい感覚でライフスタイルを提案する化粧品なんですよ。英国王室とかセレブリティ向けのブランドで、ラグジュアリーなホテルのスイートルームに泊まらないと使えない。ハロッズでさえ売っていなかった。ブランドの成り立ち、ビジネスモデルが非常に面白い。われわれにはないものです。だから、M&Aをやる価値があった。
 
 アジアにはそういうものがなかなかない。結局、独自性をどういう形で自分たちのものにしていくか。M&Aは一つの手段です。スピード、異質性を優先する場合は、いい相手がいればM&Aでやる。そうでないなら、あくまでも自社で独自に進めていかなければいけない。
 
 --手に入れたい独自性、異質性とは何でしょう?
 
 ビューティにプラスして、癒やしの世界とか、フレグランス(香り)を使うものであったり。また、オーガニック的なものが受け入れられる流れもある。そういったものをうまく活用するために、まだ小さいけれども、きらっと光るものを持っているところが出てきたときには、一緒にやることになると思う。ただ、モルトンブラウンの場合も、私が相手のトップに会って直接話しました。創業者は「消費者の肌のことを本当に考えてやらんと。これではダメだと思って事業を始めた」とおっしゃった。「ああ、これは花王と似ているな。じゃあ一緒にやりましょう」となった。そういうことがないとシナジーはなかなか生まれない。
 
 --異質なものを取り込みたいが、やっぱりコアの部分は響き合うものがなければダメだと。
 
 はい。それがいちばん大事なことだと思います。

(週刊東洋経済:山崎豪敏[編集長]、佐藤未来 撮影:今井康一)

profile
おざき・もとき
●1972年慶應義塾大学工学部管理工学科卒、花王石鹸(現・花王)入社。化粧品事業本部長、ハウスホールド事業本部長、取締役執行役員を経て2004年6月から現職。

※尾崎社長の「崎」は正しくは、「大」の部分が「立」の下の横棒を除いたものとなる字体です。

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