次のМ&Aでは、癒やしとオーガニックを取り込む
--流通との取り組みにも変化があったのですか。
チャネルが大きく変わってきている。GMSやドラッグストア、ホームセンターが台頭し、それが全国化、集約化しています。当社はカスタマー(チャネル)ごとの現状を分析、われわれが持つ市場動向のデータと合わせ、カスタマーの経営に合った提案をしていく。
--具体的にどんな施策を?
5年前に花王マーチャンダイジングサービス、KMSといいますが、売り場作りの専門部隊を作った。これが非常に機能してきた。これまではテレビ宣伝が始まったのに、店頭のディスプレーの変更が間に合わなかったり、質がまちまちだったりしたが、今は全国約5000店の店頭を3日で一気に作り上げることができる。商品の強化とKMSの店頭展開の実施力、これが奏功し始めたのがこの2年ぐらいです。
今や小売りさんも利益を志向しています。特に流通の4割を占めるドラッグストアさんは、大型化され、さらに上場した。上場すると売り上げだけではダメで、利益をちゃんと上げていかないと株主に対する責任が果たせない。その結果、利益をどう上げていくかということが商談の中心になってきています。
--花王が啓蒙していく?
両者の目標を共有化するということです。ただ、方法論的には、そうした利益を高めるための方法をある程度われわれのほうで構築して、そのパッケージを提案をし、実際に広げていくという形でやってきたところはある。それをわれわれは崎取り組み崎と呼んでいるんです。
--中国をはじめとしたアジア市場の状況はどうですか。
中国の施策は今から3年前に見直した。やはり都市部なんだということでエリアを絞り込み、カテゴリーもビオレの洗顔と、洗剤のアタックと、生理用品のロリエと、この三つに絞り込んだ。そして仏カルフールのような新興大型量販を中心に、できるだけ商品を定番化しようとやり直した。今それが軌道に乗ってきて、07年度も2ケタ近く伸びてきています。
--経営方針に変化があった?
アジアの市場はそれぞれ違うのでそれに対応しながら、一方ではアジア共通で標準化してやっていこうとしています。2年前から、日本を含めて「アジア一体運営」に取り組んでいる。一体運営とは各国の連携を図りつつ、役割をはっきりさせる。日本はたとえば技術やマーケティングの基本のノウハウ。現地はリサーチ、販売の戦術を練る。
もう一つは仕事の標準化です。SAPをアジア各国に入れた。これは非常に大きかった。さらに「花王ウェイ」というわれわれの企業理念。これは日本だとあうんの呼吸でいいけれど、海外の人とは具体的に書いたものでなければ共有できない。そこで使命とかビジョン、そういう価値観を言葉にして、目線をそろえた。
今、日本を含めてアジアでマトリックス運営をやろうと言っている。研究、生産、販売、サプライチェーン、こういったもののマトリックスを、日本も入れてアジア全体で動かそうということを始め、流れ始めている。08年度はアジアを一層強化の年に位置づけています。