NECがモバイル通信インフラでグローバル展開を先導《新「本業」で稼ぐ》


 国内の携帯通信インフラはおおむね光通信網が整備されているため、企業内通信網など特殊な例を除き、無線の出番はあまりない。だが、光通信など大容量回線のインフラが整備されていない地域や、国土が広すぎて光回線を敷設できない地域に、パソリンクは向いている。大がかりな敷設工事が不要で、設置コストを大幅に縮減できるからだ。

実際、パソリンクは欧米や韓国、中国本土など、すでに回線網の敷設が進んだ地域ではあまり伸ばす余地はない。だが、インドや中南米、アフリカなどの新興エリアを見ると、まだまだ伸ばす可能性がある。足元の第2四半期決算では一時的に伸び悩んでいるが、この大きな流れをとらえていけば、成長余力は十分にある。

パソリンクが誕生したのは、実は30年も前のこと。国内の企業内通信網向け品ぞろえの一つとして開発されたのだが、折しも当時は光通信ネットワーク敷設の大ブーム。光ファイバーケーブルを製造する電線会社や敷設工事会社など「光ファイバー銘柄」が市場を席巻する中で、容量も小さい無線通信はいかにもぱっとしない存在だった。

やがて転機が訪れた。1990年代に入り第2世代といわれる携帯サービスが開始され、モバイル通信ネットワーク需要が拡大。2000年ごろ、欧州の電話事業者から基地局間の無線通信設備の打診があったのだ。「それまでゼロだと思っていたのに、新しい市場があるのではないか、と気づいた」。グローバルキャリアソリューション事業本部の中田博也副事業本部長は当時を振り返る。

これを機に、需要が一巡しつつあった衛星通信、大型幹線マイクロ波事業や国内向けの第2世代携帯電話ネットワーク事業から人材をモバイル・無線事業に集約し、開発から営業まで、一気に200人を超える部隊を結成した。

とはいえ、海外での実績はなく、簡単に市場を獲得できるわけではなかった。主要市場とにらんだ欧州やアジアにはエリクソンやアルカテルをはじめとする通信インフラ大手が君臨し、通信ネットワークはインフラからの一括受注が中心だった。主流となっていた第2世代に食い込む余地はほとんどなく、入札に参加することもままならない。

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