NECがモバイル通信インフラでグローバル展開を先導《新「本業」で稼ぐ》
エレクトロニクス関連企業といえば、売上高の半分以上を海外マーケットに求め、海外に多くの生産拠点を持つグローバル企業というイメージがある。だが、その中で総合コンピュータメーカー大手は、意外なことに、今でも国内型だ。
出自をたどれば、NTTという内需型の巨大企業に、交換機をはじめとする通信ネットワーク機器を納めていた「電電ファミリー」であり、国内型なのも無理からぬところ。IAサーバーでグローバルシェア3位に食い込む富士通でさえ、売上高に占める海外比率は37%にとどまっている。
NECもご多分に漏れず2010年3月期の海外売上高は20%程度。半導体部門を持ち分会社化したため、今期の海外比率は17%程度とさらに低下する見込みだ。
このNECにあって、国内売上比率がほぼゼロという製品がある。しかも、グローバルシェアは欧米のライバルをしのぎ07年からトップに立つ。クラウド、スーパーコンピュータなどといった最先端の分野ではなく、通信機器といういわば「本業」。超小型マイクロ波通信機器の「パソリンク」がそれだ。
携帯通信の基地局用機器で世界シェア・ナンバーワン
10年7月末時点で、パソリンクは世界144カ国に累計150万台を超える納入実績があり、主に携帯電話の無線基地局間のアクセス回線として利用されている。
その仕組みはこうだ。携帯電話をかけると、最も近い位置にある基地局が受信し、コア基地局に送信、地域のメイン交換機に接続される。そこから光ファイバーなどの有線の回線や衛星回線を通って、相手先につながる。この携帯通信網において、端末からの送信を最初に受けてコア基地局に送る、末端のユーザーに近い部分がパソリンクのメイン市場だ。