「結果は、すべてのグループで、2回目のワクチン接種2週間後から2カ月後までは高い有効率があったのですが、12~15歳、16~17歳のグループでは5カ月後になると、入院を防ぐ効果はあったものの、救急搬送に関する効果は失われていました」
5歳~11歳に関しては接種開始から日が経っていないことから、5カ月後のデータはまだ出ていない。
つまり、重症化予防効果は持続するものの、発症予防効果は約半年後にはなくなってしまうというわけだ。この報告では、16~17歳では3回目接種の状況も出ているが、そうすると大人と同様、効果が復活していた。5歳~11歳のワクチン量は大人の3分の1だが、この結果にワクチン量は関係していないのではないか」と、宮坂さんは言う。
「結局、子どもも2回接種では時間が経つと発症予防効果が落ちるので、半年後ぐらいには3回目接種が必要ということになります」
これに対して副反応は、アメリカの子ども約4万人への調査では、2回接種後に局所反応が57.5%、全身反応が40.9%、発熱は13.4%に認められた。また、約4000件の副反応疑い報告があり、このうち97.6%が非重篤で、重篤として報告された中で最も多かったのが発熱で29件。心筋炎も11件あり、全員が回復したという。
健康な子はどうすべきか
重症化しやすい気管支ぜんそくや先天性の心疾患などの基礎疾患を持つ子は、重症化予防としてワクチン接種が期待される。だが、健康な子に対するワクチン接種のメリットとリスクをどう捉えるか――。それを踏まえて宮坂さんは自身の見解を述べる。
「子どもはそもそも現段階では感染しても重症化しにくい。とくに日本ではそれが明らかになっています。イギリスなどのように子どもの入院が増えてくれば子どももワクチンを接種したほうがいいと思いますが、結局2回打っても効果はすぐに減弱してしまう。それを踏まえて今のワクチンの上乗せ効果のメリットと、副反応のリスクを比べると、今、無理をして打つ必要はないでしょう」
もちろん、子どもに持病があったり家族内に感染者を出したくなかったりといった事情があるときは、当然ながら接種するという選択肢もありうる。
何より大事なのは、大人の3回目接種を進めること。これは日本小児科学会でも言っていることだ。内閣府の報告によると3回目の接種率は31.9%にとどまっている。子どもに感染させないためにも、まずはそちらを進める必要があるだろう。
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