「これはイギリス、フランス、スペインの3カ国で、成人と子どもの感染者数と入院者数を比べたものです。見るとわかるように、成人では感染者数に対して入院者数はあまり増えていませんが、子どもでは感染者数と同じように割合が急に高くなっています」(宮坂さん)
大人(成人)の入院者の割合が低いままなのは、大人のワクチン接種が進んでいるからだという。
ちなみに子どもへの各国のワクチン接種の状況はどうか。「小児を対象とした新型コロナワクチンの諸外国における状況(第30回 厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会資料より抜粋)」によると、イギリスは重症化リスクが高い子ども、または免疫不全の人と同居している子どもは接種可能とし、フランスでは子どもに対して接種を推奨している。
ひるがえって、日本はどうなのか。宮坂さんは大阪のデータを紹介する。今年2月24日からのデータだが、入院が必要な人は圧倒的に大人が多く、このデータでいうところの最新にあたる2月25~3月3日は、573人中430人が70代以上だった。
「ヨーロッパとはかなり違った状況で、日本はやはりいわれているように、感染者は出ているけれど、重症者は非常に少ないということがわかります」(宮坂さん)
では、なぜ日本の子どもたちは重症化しにくいのか。そこには子どもならではの免疫の仕組みが関わっていると宮坂さんは言う。
私たちが持っている免疫には、大きく生まれつき持っている「自然免疫」と、生まれてから得られる「獲得免疫」の2種類がある。新型コロナワクチンで注目されている抗体は、獲得免疫側の免疫細胞であるB細胞が作り出す免疫の武器だ。
実は、子どもはこの両方の免疫の能力、言い換えればウイルスを排除する能力が高いので、ウイルスに感染してもなかなか重症化しにくいという。
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