東京製鉄の異色経営、価格とエコを武器に挑戦状

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 「新断だけを使うとただの高い鉄ができるだけ。鉄は値段が安くリサイクルされて初めて社会のためになる。安い高機能材を造って、世の中で使ってもらわないと電炉比率は上がらない」と板谷氏は意気込む。

世界最大容量を誇る田原の電気炉は、品質の悪いスクラップが混入しても成分のバラツキを低減できる。電炉初の脱ガス装置も導入、自動車用鋼板に要求される高清浄度、高加工性を可能にしたというのだ。

電炉材の価格優位性は安い原料を前提とする。「足元調整しているスクラップ価格は、来年春までは横ばい」と予想するのは前出の林氏。 当面、電炉原料の高炉原料に対するコスト優位性は続くといえそうだ。老廃スクラップを使えるなら、なおさらだ。

「東京製鉄のものは安いというイメージをもらうことが大事」と語る西本社長。高炉の本丸、自動車材挑戦の勝算は徐々に高まっている。

◆東京製鐵の業績予想、会社概要はこちら

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(山内哲夫 =週刊東洋経済2010年11月20日号)

※記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
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