東京製鉄の異色経営、価格とエコを武器に挑戦状

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資源価格高騰が追い風 自動車メーカーも期待

「車体に使う熱延材を電炉材で使えたら、CO2が17%削減できる」

自動車メーカーの技術者が研究成果を発表した。夏に開かれた自動車技術会主催のシンポジウムでの一コマである。資源高騰の中で、国内資源のスクラップを使うことは地産地消であり有効と主張したのだ。

自動車メーカーの電炉材への関心の高まりの背景には原料価格の高騰がある。鉄鉱石価格が2倍になり、鋼材価格も2割を超す値上がりとなった。これを受け、自動車側は電炉材使用の検討に本腰を入れ始めた。「価格交渉の道具に使っているのでは」という高炉関係者の見方はあるが、「候補になるだけでも前進」と東鉄側。「かつては門前払いだったのが、今は会いに来てくれるようになった」(西本社長)と感触はいい。

当面の狙いは熱延材(下図)。自動車の床材や足回りの素材となりそうだ。自動車には熱延鋼板を薄く延ばした冷延鋼板、さらに亜鉛めっきを施した表面処理鋼板が多く使われるが、ここは当面狙わない。薄い冷延材で高張力を出すのは、高炉の看板鋼材「ハイテン」の領域だ。

「いたずらに高張力鋼板は狙う必要はない。440MPa以下で十分であり、そこをいかにスクラップベースでリサイクルして安価に供給できるか」と西本社長。

商社関係者は、「JIS規格も取っており、それなりに自動車用にも入れるのでは」との見方を示す。高炉大手幹部も、「自動車は部品が3万点ある。トヨタの集購(直接納入)にはなかなか入れないと思うので、部品メーカーが調達する鋼材の一部から入っていくのでは」と、部分的な侵食はあきらめている。

これまで、電炉材といえば建材だった。国内に30社以上ある電炉が造るのは棒鋼などの建設用途。薄板を生産するのは東鉄のみ。かつて建材需要は自動車用をはるかに上回ったが、公共事業の縮小など内需不振で長期減少傾向(下図)にある。


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