清原果耶にヘヴィな役柄がこんなにも似合う理由 圧巻の最優秀助演女優賞、主演受賞も遠くない

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そもそも「あさが来た」も「なつぞら」も清原が演じた役は明るく元気キャラではない。「あさが〜」では富裕層の商家に奉公に来た貧しい家の子で若旦那(玉木宏)の優しさに触れて妾でもいいと涙ながらに告白する健気さに注目が集まった。

「なつぞら」では戦災孤児の役。兄と姉と生き別れになり、苦労して生きてきて、ようやく結婚したものの夫とうまくいかず娘を抱えひとり料亭を切り盛りするという波乱万丈な役。姉・なつと再会したばかりのときは、野良猫が人間を警戒するような頑なさがあって、それがじょじょにほぐれていくところに人間ドラマとしての見応えがあった。

思慮深い顔が似合う

清原果耶はいわゆる人気者に期待される華のような笑顔よりも、眉間に神経を集中させ対象をじっと見据えるような思慮深い顔が似合う。たいてい誰でも笑顔になれば魅力が倍増するものだが、清原は笑わなくても魅力的。愛想笑いをふりまくことが不要な稀有な俳優なのである。また、いささかおばかな振りをしたり、可哀想なふりをしたりして相手の庇護欲にアピールするような演技もしない。何事にも動じない雰囲気がときに可愛げないと思われることもあるようだが、自分を偽って爪を隠すことなく堂々と自分らしくいる生き方があることを提示してくれているようで見ていて気持ちがいい。

清原にはどんなに抑圧されてもにじみ出る気高い精神の輝きがある。朝ドラのヒロインといえば活発で明るいものを期待されがちなところ、「モネ」があえてその逆をいき、震災以降を悩みながら生きる人々に寄り添うドラマとなったのは、清原がヒロインだからできたことであろう。未来があって溌剌とした若い俳優が、活力を奪われ未来に迷うからこそ際立つ悲劇性と、それでも決して屈しない希望の光が清原の身体からヒカリゴケのような発光植物のように発され眩しかった。

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