包括的核実験禁止条約(CTBT)がいかに原子力安全保障に貢献したかを考察することが足掛かりとなる。すべての核爆発を禁じることで、CTBTは核兵器の新規開発と高性能化の両方を抑止している。過去15年間で、核兵器の実験を行ったのは北朝鮮のみで、ならず者国家としての評価が定着した。
NPTとCTBTが原子力安全保障を補強してきたことは明らかだ。NPTの枠外で核兵器を開発した国は片手で数える程度しかなく、CTBT は平均で10年間に500回行われていた核実験を、ごくわずかな回数にまで減らした。
しかしながら、8カ国がCTBTを批准しなかったことが、この条約の発効を妨げており、世界の安全保障に対する本条約の貢献は、いまだにNSSのアジェンダに含まれていない。
希望をなくす理由もない
国際社会がCTBTを発効に導けなかったことが、『Bulletin of the Atomic Scientists』の象徴的な世界終末時計 が午前0時の5分前(冷戦のピーク以来、最も午前0時に近い位置)で止められたままである理由の一つだ。しかし、考慮すべき原因が明白に存在する一方で、希望をなくす理由は何一つない。
次回のNSSが2016年に米国で開催されるのに先立ち、絶好の機会となるNPT再検討会議が来年開催される。ここでは長期的かつ包括的な視点で世界の原子力安全保障問題が取り上げられることになるだろう。2016年のNSSの準備段階として必要なのが、CTBT発効の保証を含む、核の脅威に対する世界的な取り組みを包括的に推し進めるための措置である。
われわれは、自分たちや未来の世代のためにこの好機を利用し、核の脅威から世界を解放するために必要となる信頼回復と相互理解の土壌を築き上げなければならない。
核の脅威をよく理解し、原子力安全保障への包括的なアプローチを探ることは、努力をムダにしたり、焦点をぼかしたりはしない。むしろ、受け入れがたい未来が現実となるリスクを軽減する手段を排除しないよう注意することを意味しているのである。
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