新型コロナに感染「家族にうつさない」5つの心得 脅威に備えるパンデミック・プランニングとは

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今回のようなパンデミックが起きた場合、国のレベルでとらえられがちですが実際に流行の現場となるのは各「地域」です。日本で見ても47都道府県、人口も違えば医療機関、医療従事者の数なども大きく違います。

そこで、各地域が事前に実情に合った準備をし、パンデミックと闘っていかなくてはなりません。その事前の準備を「パンデミック・プランニング」と呼びます。

「パンデミック・プランニング」とは?

これを広く促すために書かれた1999年発行のアメリカCDC『新たなインフルエンザのパンデミックの発生に備えて地方当局が対策を立案するための指針』というものがあります。アメリカの指針でだいぶ昔のものになってしまいましたが、大変よくできていて、日本でも対策を立てるときの参考になるものです。

この指針の冒頭部分に、パンデミックが起きたとしたらこんなことが予想されるという物語調の文章があるのですが、それがまさに今回のパンデミックとまったく同じ展開で、時を超えたものになっています。

そして、その物語の文章の終わりには「あなた、そして、あなたが管轄する地域に住む人は準備できていますか?」と続きます。

指針自体は、「その地域の実情に合った課題に焦点を当てた適切な行動計画」を立てるための手助けとなるように作られたもので、実行委員会の設立方法からワクチンやウイルス薬の開発指示、配分、接種方法、各種手続きや手順にまで及んでいます。

ワクチン接種をはじめとするアメリカの素早い対応は、このバックグラウンドがあったからなのかもしれません。

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感染症対策は「私達のための行動計画」であるべきです。パンデミックに関する対策は各都道府県で違っていて良いのです。むしろ各地域の状態や動向、医療機関の体制によって違わざるを得ないのです。

つまり、この対策は、決して全国統一ではなく各都道府県が「独自に準備」しておくべきものなのです。

結局、最後に必要となるのは「地方のリーダーシップ」です。それは知事・市長の政治的アピールを意味するものではありません。各自治体の首長の力量だけでなく、行政全般、医療関係者、公衆衛生、教育に関わる人達の、個々が「決断」を迫られます。

各自が正しい知識を持って、的確に判断することが必要になってきます。間違った情報に踊らされることなく、適正な判断が下せるよう、不断の努力が求められるのです。

西村 秀一 国立病院機構仙台医療センター臨床研究部ウイルス疾患研究室長

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にしむらひでかず / Hidekazu Nishimura

1955年山形県生まれ。専門は呼吸器系ウイルス感染症、特にインフルエンザ。呼吸器系ウイルス感染症研究の日本における中心人物のひとり。

1984年山形大学医学部医学科卒業。医学博士。同大細菌学教室助手を経て、1994年4月から米National Research Councilのフェローとして、米国ジョージア州アトランタにあるCDC(疾病対策センター)のインフルエンザ部門で研究に従事。1996年12月に帰国後、国立感染症研究所ウイルス一部主任研究官を経て、2000年4月より現職。著書に井上亮編『新型コロナ「正しく恐れる」』がある。

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