新幹線「のぞみ」誕生30年、ちょっと気になる話 特急料金はなぜ高い?今後のスピードアップは?
「のぞみ」登場以降に大きく変わったのが車内の食事事情だ。「ひかり」「こだま」しかなかった時代には、多くの「ひかり」に食堂車が連結され、人気を博していた。100系新幹線は2階建て食堂車が魅力の1つでもあった。しかし「のぞみ」は当初から食堂車を連結しなかった。理由をJR東海に尋ねてみると、すでに100系時代に兆候が現れていた。
100系は国鉄時代の1985年に登場。2階建て車の1両を食堂車としたが、1988年に100系を増備した際にはグリーン車利用が増加していたため、2階部分を全部グリーン車として食堂を廃止し、階下に持ち帰り式のカフェテリアを設けた。
「のぞみ」が登場すると東京―新大阪間の時間が短縮し、同時に駅や駅周辺デパートなどの弁当売り場が充実するようになった。乗車前に弁当を購入して乗る人が増え、100系のカフェテリアも食事ニーズの実情に合わなくなった。結果的に食堂車は2000年で、カフェテリアも2003年に姿を消した。
高速化と駅ナカの充実で食堂車やカフェテリアが消えてしまったのは、スピードアップが宿命の新幹線の進化の中である意味仕方ないだろう。その代わり、車内販売を充実させることにしたという。確かに、全国で車内販売が消える中、「のぞみ」(東海道は「ひかり」も)は維持し続けている。
今後のスピードアップは?
さて、最後に気になるのは今後だ。東海道新幹線ではN700Sを使用して速度向上試験を行っており、最高時速362kmも達成した。とすると、「のぞみ」はより一層速くなるのだろうか。
JR東海は、東海道新幹線での営業時の速度を向上させる予定はないと述べており、線路条件や輸送状況、沿線環境などから、現状の時速285kmという最高速度が妥当だとしている。また、東海道新幹線はほかの新幹線に比べて急曲線が多いという特徴もあり、最高速度で走行できる区間も直線と一部の曲線のみで、その区間も分散している。これ以上速度を向上しても、到達時分の短縮効果はほとんどないと考えているという。
実際、最高速度を上げなくても所要時間の短縮は実現している。今年春のダイヤ改正では、朝・夜の一部列車で所要時間を短縮し、最大では東京―新大阪間で6分短縮。同区間の平均所要時間は2時間28分になる。
現状で、リニア中央新幹線の品川―名古屋間開業はいつになるかわからない。ましてや新大阪まで開業するのはかなり先になるだろう。それまで、「のぞみ」は東海道新幹線のエースとして走り続けることとなる。
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