山陽3000系、多種多彩な「阪神・阪急直通」の立役者 一見すると地味だが、実はバリエーション豊富

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外観デザインに注目すると、前面は「東海形電車」とも呼ばれた国鉄153系のような曲面ガラスが特徴で、高運転台で運転士の安全と広い視界を確保しようとした工夫がうかがえる。国鉄車両を思わせる輪郭だが、中央上部の2つの前照灯や、貫通扉の種別・方向幕に個性が出ている。側面は同社初採用となった両開きの3ドアと、その間に3つ連なった2段式の窓を配置。車内は通勤電車らしいロングシートが並ぶ。

汎用性を意識した設計

2007年発行の『山陽電気鉄道百年史』によると、一世代前の2000系の制御装置には、神戸高速鉄道乗り入れを考慮して1500ボルトと600ボルトの複電圧装置を備えたものの「複雑な機能を詰め込んだため故障も多く、検修担当者は苦労した」という。当時、山陽は1500ボルト、阪急と阪神は600ボルトと架線電圧に違いがあったが、結果的に阪急と阪神が1500ボルトに昇圧することに決まったため複電圧制御装置は不要になった。

こうした経緯もあり3000系の設計にあたっては「機器の簡単化、取り扱いの便利化に重点を置き、最新の技術を導入する」「相互乗り入れの運転条件が未定のため、車両の性能には汎用性を持たせる」といった方針が盛り込まれたという。車体長は乗り入れ先と同じ18.3mに揃えた。

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