「情報戦」でウクライナが圧倒的に優勢な理由 イーロン・マスクを味方にするSNSナラティブ

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ウクライナ情勢の情報戦の全容を、3つのポイントから解説(写真: metamorworks/PIXTA)
ウクライナ情勢から目が離せない。有史以来、戦争にはつねに「武器の戦い」がある一方で、「情報の戦い」という側面がある。企業の戦略PRの第一人者で『ナラティブカンパニー』の著者でもある本田哲也氏が3つのポイントから、ロシアvs.ウクライナの情報戦について解説する。

現地時間の2月24日、ロシアはウクライナへの侵攻を開始。ウクライナ東部2州への派兵を行い、さらに首都キエフを含めたウクライナ国内の軍事施設へのミサイル攻撃も始めた。執筆時点では、ロシアはウクライナ南東部にあるヨーロッパ最大規模の原子力発電所、ザポリージャ原子力発電所を掌握、東部の要衝マリウポリへの攻勢を強めている。

「ナラティブ」の発話数が急上昇

PRの専門家として見ると、この戦争での「情報の戦い」では、ウクライナのほうが有利と考えている。その理由として「ナラティブ(物語)」というキーワードを挙げたい。

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日本語だけの調査ではあるが、ツールを使って独自にTwitter上での「ナラティブ」というワードの発話量を調査した。すると、「ナラティブ」の発話量がロシアによるウクライナ侵攻を機に急上昇しており、侵攻前と比べて平均で約9倍に膨れ上がっていることがわかった。

投稿の内容は、「ナラティブの積み重ねではウクライナの圧勝」「ウクライナのナラティブの醸成は完成している」等々。この傾向は日本だけではなく、国際的な報道にも見てとれる。

ナラティブとは「社会で共有される物語」のことだ。「ストーリー」が起承転結のフォーマットで一方的に語られるものであるのに対し、ナラティブは「共に紡ぐ」、つまり共創という特徴がある。

ノーベル経済学賞を受賞したロバート・シラー教授もその著書『ナラティブ経済学(Narrative Economics)』の中で、「特定の物語が世の中で語られて人を動かす」と述べている。「ナラティブ」は今注目のキーワードなのだ。ウクライナでの戦争で「ナラティブ」という単語の発話が増えていることもそれを示唆している。

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