味わい深い「ビジネスでは褒められたら恥」の真意 孫子が教える生き残る人やビジネスの心構え
「絶対」と言えなければ、準備不足
「ダイビングキャッチなんて、褒めないでほしい」。元メジャーリーガーのイチローさんが、かつてそんなことを言ったのを、私は覚えています。
イチローさんいわく、ボールを追うときに目測を誤ったせいで、やむをえず飛びついたのだから、それは恥ずかしいことだ。むしろ、さも簡単そうに凡フライをキャッチしたように見えたとき、それを褒めてほしい。自分の目測が確かだった証拠だから、と。
この話を聞いたとき、まるで孫子のようだ、と私は思いました。
(『孫子』形篇より。以下引用同じ)
つまり孫子は、多くの人が感動するような劇的な勝ち方などというものは、最善のものではない、と言います。「感動するような劇的な勝ち方」とはつまり、「危うく」勝っているということ。見ているほうは楽しいかもしれませんが、それは「いい勝ち方」、つまり、負けない戦い方とはいえません。
私たちビジネスパーソンも、ファインプレーを誇らず、「当たり前に勝つ」「楽勝する」ことこそを誇りに思うべきです。
孫子は「勝ってから戦え」と独特な表現を用いていますが、要するにこれは、当たり前に勝てるぐらいの準備をしろ、ということです。準備万端に整えて、「すでに勝ったも同然」という状況をつくり出してから、戦いに臨むのです。
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