資格試験「落ちる人」「受かる人」の参考書の使い方 モチベーションの高い時期にやりがちなこと

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資格を取得する目的は、その資格を活かした高度な仕事ができるようになるためだと思います。つまり、資格試験は新たな仕事のスタートに立つための試験であって、その分野のナンバーワンを決める試験ではありません。これも、多くの方が誤解しています。資格試験に合格することが何よりも大事で、仮に合格最低点であっても合格さえすれば、その資格が与えられます。

実際、私が簿記1級の試験を受けた時も、準備期間が短かったので合格への最短コースを見極めて勉強した結果、合格ライン70点のところ、71点でギリギリの合格でした。

際どかったのは事実ですが、それでも合格したので資格を取得できました。当たり前ですが、100点満点で合格しても、最低点で合格しても、取得できる資格は同じです。ならば、過去の試験結果から、100点満点で70点とれば合格できる資格であれば、100点を目指す必要はまったくなく、目標点は70点でいいのです。

資格試験のほとんどは、基本的に6〜7割正解できれば合格できるように試験レベルが設定されています。8割解けないと受からない試験は滅多にありませんし、5割解ければ合格できる試験というのもあまりありません。

教科書1冊丸暗記は必要ない

つまり、その資格の試験範囲を全部網羅している教科書があるとしたら、試験ではその教科書の6〜7割の内容を理解しているかどうかが問われるのです。

『資格試験に一発合格する人は、「これ」しかやらない 忙しい社会人のための「割り切る勉強法」』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

教科書を丸ごと1冊すべて理解して暗記しているかが試されているわけではないのです。このことに気づくだけでも、少し気が楽になるのではないでしょうか。

また、100点満点で合格した人や最年少で合格した人が、その後の仕事で一番活躍しているわけでもありません。

司法試験でも、数年以上かかって苦労して合格した人が、弁護士として数々の裁判で活躍して著名になっている例もあれば、最高裁判所の裁判官になった例もあります。合格点とその後の仕事における活躍に、直接の関係はありません。このことも知っておいて損はないでしょう。

鬼頭 政人 資格スクエア創業者、弁護士

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きとう まさと / Masato Kito

1981年生まれ。開成中学、開成高校を特別優等の成績で卒業後、東京大学文科1類(法学部)に現役で合格。同大学法学部卒業後、慶應義塾大学法科大学院に現役で進学し、同大学院在学中に司法試験に一発合格。司法修習を経て都内の法律事務所に弁護士として勤務。ベンチャー企業を多面的に支援したいと考え投資ファンドに転職した後、22013年12月に資格試験対策をオンラインで提供する「資格スクエア」を創業、その後、ワンストップ電子契約サービス「NINJA SIGN」(後にfreeeサインと名称変更)も創業。著書に『東大合格者が実践している 絶対飽きない勉強法』など。

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