モノが少ないほうが「料理の腕が上がる」納得理由 電子レンジは不要、「油と塩」さえあればいい

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料理は好きなほうだ。でも、なんにもわかっていなかった。コンソメや鶏がらスープや白だしで味付けをしないと、味もコクも生まれないと思い込んでいた。全然違う。野菜にも肉にも、もともと味は十分あったのだ。つねに上からドバーッと強い調味料で塗りつぶしているうちに、素材はのっぺらぼうだと感じるようになってしまっていた。

切り方、材料を入れる順番、火加減、煮込む時間、そういったことで風味も食感もかなり変わってくる。例えばにんじんとにんじんの皮を一緒に煮たスープは、花束みたいないい香りがした。にんじんを初めて食べた気分だった。適切な調理によってちゃんと素材の潜在能力を引き出せた料理は、ほんのちょっとの塩のほかには何も要らないと思える。

いったんいつもの調味料を封じて、塩と油だけで料理をしてみる。するとおのずと素材本来の風味と出会うことができて、それを引き出すための調理法も学べた。これが料理だったのか。

鉄フライパンは調味料以上に味が決まる

調理法によっても味が変わるし、道具によっても味が変わる。少ない調味料で料理の基本を学んでみようとしたとき、調理器具も信頼できるものをこれだと決めて使いたいなと思った。もう一度0から学んで、この鍋ならこう、このフライパンならこのくらい、という感覚も身につけていきたい。

ステンレス鍋も鉄フライパンも、適当に使っているときには「なんかくっつきやすい」「洗いにくい」という印象があった。でも落ち着いて正しく使えば本当はそんなに扱いにくくもないし、何よりうまみの味方だった。

味よりうまみを重視するようになり、うまみがいつ出るのか調べているうちに、メイラード反応(食材の中に含まれるアミノ酸と糖が加熱によって結びつくこと)や、蒸したり無水調理で成分を凝縮させたりすることが重要だと知った。そういったことがちゃんとできる鍋やフライパンは、調味料以上に調味料の役目を果たすことがある。

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