米国が懸念する「プーチン暴走」で次に起こること 経済制裁で「窮地の暴君」はさらに過激に?

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従って、プーチンが行動をエスカレートすれば制裁は一段と厳しくなるが、プーチンが事態の沈静化に動くなら、その度合いに応じて制裁を緩める展開もありえるという。

だが、そうした期待はプーチンの本性に関する分析結果とは矛盾する。

アメリカ中央情報局(CIA)長官のウィリアム・バーンズは当初から、プーチンは侵攻を計画しており、駆け引きで優位に立つためだけにウクライナ周辺に軍隊を集結させているわけではないという見方をとってきた。

駐モスクワの元アメリカ大使としてプーチンと20年以上にわたって渡り合ってきたバーンズは12月に次のように述べていた。「私なら、プーチン大統領がウクライナで危険を冒す可能性を決して甘く見ない」。

アメリカ政府に攻撃の矛先をシフト?

ウクライナ情勢が深刻化してからの非公開会合では、プーチンの今後数週間の戦略について、アメリカ当局者が以下の可能性に警鐘を鳴らすようになっている。ウクライナの民間人に対するロシア軍の攻撃から注意をそらし、長年の敵国の行動に対する愛国的な反感を国民にたき付けるべく、アメリカ政府に攻撃の矛先をシフトしてくる、というものだ。

バイデンがロシアに経済制裁を加えたのと同じく、プーチンがアメリカの金融システムに攻撃を加えようと考えた場合、有効な手段は1つしかない。訓練の行き届いたハッカー部隊とランサムウェア犯罪組織の動員だ。こうした犯罪組織の中には、プーチンの戦争を支援するとはっきりと約束しているところもある。

「事態がエスカレートしていけば、われわれの重要インフラに対するロシアのサイバー攻撃を目にすることになるだろう」。下院情報委員会のメンバーで、影響力のあるサイバースペース・ソラリウム委員会の共同議長を務めるマイク・ギャラハー下院議員(共和党、ウィスコンシン州選出)は、そう語った。

とはいえ、プーチンの次の動きとしてはウクライナで軍事作戦を強化してくる可能性が高く、そうなれば民間の犠牲者がさらに増え、破壊の被害が拡大するのは間違いない。

かつてCIA職員として大統領への情報ブリーフィングを担当していたベス・サナーは、「侵攻はプーチンが思ったほど簡単ではなく、彼としては攻撃の手を強める以外に選択肢がない」と話した。「それが独裁者というものだ。引けば弱みを見せることになるため、撤退はあり得ない」。

(執筆:David E. Sanger記者、Eric Schmitt記者、Julian E. Barnes記者)
(C)2022 The New York Times Company

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