米国が懸念する「プーチン暴走」で次に起こること 経済制裁で「窮地の暴君」はさらに過激に?

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ロシアによる攻撃が続くウクライナ。アメリカの政府高官の間ではその「次」に対する懸念が広がり始めている(写真:Tyler Hicks/The New York Times)

対ロシア戦略を立案するホワイトハウス高官の間で、新たな懸念に関する議論がひそかに始まっている。対ロシア制裁の連打に大統領ウラジーミル・プーチンが追い詰められて暴走し、紛争をウクライナ以外にも広げてくる、という懸念だ。

3人の高官によると、ホワイトハウスのシチュエーションルーム(作戦司令室)の会議では、こうした問題が繰り返し俎上に載せられるようになっている。プーチンは自らの行き過ぎた行動で身動きが取れなくなったと感じると、さらに過激な行動に出る傾向があると、アメリカの情報機関はホワイトハウスと議会に報告している。

ホワイトハウス高官が想定するプーチンの反撃シナリオは、ウクライナに侵攻したロシア軍の初動の失敗を補う無差別砲撃から、アメリカの金融システムを狙ったサイバー攻撃、核を使ったさらなる脅し、ウクライナ国境外への戦争の拡大まで多岐にわたる。

プーチンの「次の一手」をめぐる議論と連動して、情報機関ではプーチンの精神状態に関する再検討が急ピッチで進められている。新型コロナ禍による2年間の引きこもりで、プーチンの野心とリスク選好度に変化が起きたのかどうかも焦点だ。

プーチンが2月27日、西側の「攻撃的な発言」に対抗するとしてロシアの戦略核兵器を「特別戦闘態勢」に置くよう命じたことで、上述の懸念は一段と強まった(もっとも、国家安全保障当局者の話では、その後の数日間にロシアの核部隊が実際に新たな準備態勢に移行したことを示す証拠はほとんど見られなかったという)。

3月2日に国防長官ロイド・オースティンが、ロシアの直接的な挑戦をエスカレートさせたり、プーチンに核兵器を使用する口実を与えたりするのを避けるため、核ミサイル「ミニットマン3」の発射実験を延期すると発表したことに、アメリカの懸念の深さが表れている。

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