近年のBEV専用車はテスラの影響を受けて、シームレスなデザインが多い。アリアもそうだ。しかし、IONIQ 5は、シームレスでありながら大胆な斜めのキャラクターラインを入れることで、モダンでクールな雰囲気を表現できていた。
ヘッドランプやリアコンビランプは「パラメトリックピクセル」と呼ばれる、細かいドットを規則正しく並べたデザインで、デジタル時代のモビリティというメッセージが伝わってくる。
それに比べるとインテリアは、ステアリングやシートの形状は普遍的で、運転席の前から中央まで伸びる横長のディスプレイも他車に採用例があるため、新鮮味は薄い。しかし、ディテールまで手を抜かず、クリーンに仕立てたところは共通する。
全長4670mm×全幅1860mm×全高1640mmというボディサイズを持つNEXOは、かつて初代が「JM」の名前で日本に輸入されたこともある、同じクラスのSUV「ツーソン」に似ており、IONIQ 5に比べると一般的な造形だ。
ヒョンデのFCEVはまず、ツーソンよりひとまわり大型のサンタフェでテストカーが生まれ、続いて初代ツーソンの実験車両が作られると、2代目ツーソンで量産にこぎつけた。そして3代目ではFCEVが独立しNEXOとなった。
小さな滝が連なったような「カスケーディンググリル」と薄いヘッドランプからなる顔つきは、サンタフェやツーソンなどに似ている。価格が776万8300円と、IONIQ 5の479万~589万円より高いこともあり、インテリアもオーセンティックだ。
ブランドメッセージは伝わるか?
原宿のショールームには、車両本体だけではなくIONIQ 5に設定された6色のボディカラーの由来、インテリアに使われた天然素材などの紹介もあった。どれも今の空気感を的確に反映していて、ナチュラルでサステイナブルなブランドという感じを受ける。
2車種に絞った展開は、一度失敗した日本市場への復帰ということで慎重になっているのかもしれないが、電動車に限定することでブランドメッセージを明確にする狙いもあると感じた。
とりわけIONIQ 5のデザインは独自の魅力にあふれていて、日本の道での信頼性が確立できれば、日欧米のブランドにとって強敵になりそうだ。この国のユーザーが復活した韓国車をどう評価するか、注目していきたい。
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