韓国「ヒョンデ」デザインがガラっと変わった訳 世界5位躍進のカギは欧州デザイナーにあり

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グループ結成以降、ヨーロッパブランドのデザイナーを相次いで引き抜き、重要ポストに据えた成果が、文字どおり形になっている。

たとえばキアは、グループ入り直後、アウディ初代「TT」のデザイナーだったペーター・シュライヤー氏を獲得した。「タイガーノーズ(虎の鼻)」と呼ばれるグリルを確立した同氏は、キアのCEOを経てグループのデザインを統括するポジションに就いた。

タイガーノーズを採用したkia「スティンガー」(写真:起亜自動車)

一方のヒョンデは、ランボルギーニ「ガヤルド」「ムルシエラゴ」などを担当したルク・ドンカーヴォルケ氏を引き抜き、ヒョンデおよびプレミアムブランドのジェネシスを担当させた。ドンカーヴォルケ氏もその後、グループ全体のデザインを見る役職になっている。

これ以外にも、グループでは多くのデザイナーをヨーロッパから招聘した。それが日本撤退後に花開き、販売増加に結びついたと思っている。

モダンでクールな「IONIQ 5」

ヒョンデは今回の日本市場復帰に際し、現代自動車ジャパンからヒョンデ モビリティ ジャパンに社名を変更し、東京原宿に「ヒョンデハウス原宿」と名付けた期間限定のショールームを、5月28日までの期間限定で開設した。

そこには今回、輸入が始まった2車種、電気自動車(BEV)の「IONIQ 5(アイオニックファイブ)」と燃料電池自動車(FCEV)の「NEXO(ネッソ)」が展示されている。筆者もこのショールームを訪ね、実車を観察してきた。

期間限定オープンのブランドストア「ヒョンデハウス原宿」(写真:ヒョンデ モビリティ ジャパン)

2台を見て、かなりデザインの方向性が違うと感じた人もいるだろう。それもそのはず、IONIQはフォルクスワーゲンの「ID」やメルセデス・ベンツの「EQ」と同じ、EV専用のサブブランドなのである。

IONIQという車種は、ハイブリッド車(HEV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)、BEVの3種類のパワートレインを選べるモデルとして、まず登場した。ヒョンデの電動化戦略を象徴する車種だったことから、サブブランドに発展したようだ。

IONIQ 5のボディサイズは全長4635mm×全幅1890mm×全高1645mmと、高さを除き日産自動車の「アリア」よりやや大柄だが、バランスのとれた2ボックススタイルのためボリュームは感じない。

オフィシャルサイトによれば「ポニーのDNAを継承した」とのことだが、フォルクスワーゲン「ゴルフ」にも似ている。初代ポニーと初代ゴルフは、ともにジウジアーロが同じ時期にデザインに関わった車であるため、似ていると感じるのだろう。

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