ドッキリ番組の赤外線カメラ映像が白黒になる訳 テクノロジーのベースにある物理学の楽しみ方

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「赤外線カメラ」の見え方が肉眼と違うのはなぜ?(写真:smuki/PIXTA)
学生時代、「物理」という言葉を聞くだけでげんなりとした気分になった人も少なくないでしょう。しかし、昨今のビジネスシーンでは理系人材が重宝され、文系出身者でもテクノロジーに対する知識と技術の根底にある物理学に基づく仕組みなどへの理解が求められるようになりました。
そこで、今回は京都大学名誉教授の鎌田浩毅氏と、関西の難関大受験予備校の講師米田誠氏という、教えるプロフェッショナルの2人によって、物理へのハードルを下げるべく執筆された書籍『一生モノの物理学 文系でもわかるビジネスに効く教養』(鎌田浩毅・米田誠共著)より、一部を抜粋して「赤外線カメラ」についてお届けします。

なぜ赤外線カメラの映像の色は肉眼と異なるのか

テレビ番組などで防犯用監視カメラの映像や暗闇の中でのドッキリ映像などをご覧になったことのある方は少なくないかと思います。

これらの映像の多くは赤外線を可視化したもので、「サーモグラフィー画像」とも呼ばれるものです。

赤外線は、光(電磁波)の一種です。あらゆる物体は、それ自体の温度によって異なる強さの赤外線を放射しています。

もちろん、私たち人間も同様に放射していますから、赤外線カメラはその赤外線を可視化しているのです(最近では、カメラ側から赤外線を発し、反射してきた赤外線を感知する監視カメラもあるようです)。

さて、ここで1つの疑問が浮かびます。なぜ、赤外線カメラは色の濃淡でしか撮影できないのでしょうか? この疑問を入口にして「ものを見る」ということを物理的に考察してみましょう。

実は、私たち人間が見ている世界の色と、他の動物が見ている世界の色は違います。

人間は赤・緑・青の、3つの光を感受することができます。

赤・緑・青を「色の三原色」と呼び、スマートフォンやパソコンのモニターに映る様々な色は、この3つの色を発光させることで表現されています。

三原色はRed・Green・Blue の頭文字からRGBカラーと呼ばれることもありますが、これらが混ざるバランスの違いを、私たち人間は様々な色彩として認識します。

絵の具を混ぜることで異なる色が表現できるようになるのと同じです。

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