松井一郎「大阪流の少子化対策、全国でやるべし」 維新の会代表・大阪市長が見る大阪の今と未来
塩田:インフラ対策では、IR(統合型リゾート)の誘致準備との関係で、高速道路整備や人工島の土壌対策などで、追加予算の問題が報じられています。
松井:追加予算という点では、IRについて、780億円という土地改良費用の問題が出ていますが、これはIRができれば、年間25億円の家賃をいただく話です。もう1つ、カジノの交付金として、事業者から大阪府・大阪市に年間1050億円が入る仕組みになっています。780億円の支出で大阪市の財政状況が傷むことは一切ありません。
事業計画や収支の見込みが甘いのでは、という声はあります。事業はノーリスクではありませんが、リスクをヘッジするために、しっかりと計画を審査してやっています。計画は日本のメガバンク2行がファイナンスをつけることを確約していますが、われわれのところにファイナンスを証明するメガバンクのレターもあります。規模は5000億円で、事業者になるMGMリゾーツ・インターナショナルとオリックスの事業計画を、メガバンクが精査したうえでファイナンスを決定しています。
さらに大阪の大企業20社が全体の2割分、出資しますが、上場企業ですから、いい加減な事業に変な形で出資したら、経営者は株主代表訴訟で全員クビとなり、損害賠償で訴えられます。こちらもきちんと事業計画を審査したうえで出資するわけです。
もう1つ、バブルのときと違うのは、われわれは大型高層ビルのような箱物を造るわけではなく、今ある土地を貸すという話です。借り主がいて、相手の用途に見合うように土地改良をするのは、行政としては当然の責務だと思っています。
ギャンブル依存症対策は強化・拡充
塩田:IR誘致の成功の見通しは。
松井:自信はありますよ。IRは観光産業を持続的な成長産業とするために必要ということで、安倍晋三内閣時代にわれわれ維新が自民党と一緒に、観光立国を作るという目標を掲げて、基本法、実施法を含め、推進してきたわけです。そのいちばん高いポテンシャルを持っているのは大阪だと僕は思っています。ただ、国におけるIRの計画工程の遅れとコロナの発生で、IRが出来上がるのは万博終了の4年後と、時期は後ろ倒しになりました。
塩田:ギャンブルの事業に対する抵抗感や嫌悪感、根強い反対論があります。
松井:それはあります。先進国の中でIR、カジノがないのは日本だけで、非常に違和感があると思います。ただ、日本にはパチンコがあるのに、今までギャンブル依存症対策は脆弱でした。今回、IRができることで対策を強化していきますから、逆に日本の依存症対策は拡充する。そのこともしっかり伝えたいと思っています。
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