「親の介護」に臨む人が知るべき国の2重大制度 仕事と介護の両立を諦めないのはとても重要だ
太田:介護を機に仕事を辞めた人の負担感のデータを見てみると、精神面では約64%、肉体面では約56%の人が、負担が増したと回答しています。だからこそ、仕事と介護の両立を目指すことは大事なんです。
安藤:えええ!! そんなに。お金に困るのは想像できるけど、心も体も負担が増えるなんて、意外でした。
「介護休業」「介護休暇」は要件を満たせばパートでも
安藤:介護のために仕事を辞めると、えらいことになる!というのはわかりました。でも、介護のために休んだり、遅刻したりが増えると、仕事でかかわる周りの人たちに迷惑をかけそうな気が……。
太田:はい。会社に迷惑をかけるからと、離職を決意する人もいるようです。でも、仕事をサボっているわけではないですから、まずは上司に相談してみるなど、とにかく介護についてオープンにすることが大切です。
安藤:介護って、ネガティブなイメージがあるから、人に言いにくい気がしますが、思い切ってオープンにすることが大切なんですね。
太田:それに、日本では、介護を理由に仕事を休めることが法律で定められているんですよ。
安藤:法律で決まっているんですか! 知らなかった!
太田:絶対覚えておいてほしい制度として、主に2つの制度があります。1つ目は「介護休業制度」。介護対象者1人につき、通算93日までお休みすることができます。原則、2週間前までに書面などで勤務先に申請することで、使えるようになります。93日連続で休むこともできるし、上限3回まで分けて使うこともできます。
2つ目は「介護休暇制度」で、介護対象者が1人なら、年5日、2人以上なら、年10日までとることができます。介護休暇は、会社に「休ませてください!」と申し出れば使うことができ、時間単位でとることもできます。どちらも、必要な勤続期間を満たせば、パートやアルバイトでも使うことができます。
安藤:介護で仕事を休める法律。なんだか心強い!
太田:そうですよね。その法律は、「育児・介護休業法」として定められていて、時短勤務や残業の免除、フレックスタイム制の導入など、さまざまな働き方をしながら、仕事と介護を両立できるように、国も会社も応援しています。
安藤:育児も介護も同じ法律で、仕事との両立を目指せるように決まっているなんて知らなかったです。
太田:会社によっては、法律以上に介護のための制度を充実させているところもあります。一度、自分が働いている会社の制度を確認してみましょう。おトクな制度があるかもしれません。