「親の介護」に臨む人が知るべき国の2重大制度 仕事と介護の両立を諦めないのはとても重要だ

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安藤:もし親が嫌がった場合は、説得するのは、なかなか大変そうですよね。

太田:親に嫌がられてしまうと、なんだか悪いことをしているような気分になるのは当然です。でも、しつこいようですが、親も子どもも105歳まで生きる可能性があることを忘れないでください。親の介護に全力投球してやっと終わったところで、自分自身の老後は待ってはくれません。それなら、親が安全に暮らせる施設を探して、快適に過ごせるようにサポートするほうが、子どもの人生を守ることができますし、より現実的なプランではないでしょうか。

安藤:そうですね。でもどんな施設があるのか、どこで探せばいいのかまったくわかりません!

太田:施設は、さまざまな種類があり、受けられるサービスもそれぞれです。まずは、いつかは、高齢者施設への入居も検討しなくてはいけなくなることが多いと心に留めておいてください。いざというときに備えて、インターネットなどで、どんな施設でどんなサービスを受けられるのかをチェックしておくことや、身近に介護経験者がいるなら話を聞いておくなど、ある程度、情報収集しておくといいと思いますよ。

安藤:わかりました! 親の施設探しのサポートを全力でできるように知識を備えるようにします。

介護保険制度を使えばサービス費は1割負担

安藤:介護に関する心得みたいなものは、うっすらですが、形が見えてきたような気がします。ここで、「お金」について気になるので聞いてもいいですか? 身の回りのお世話は、介護サービスを使うということですが、お金ってどのくらいかかるものでしょうか?

太田:サービスのことや、それにかかわる費用については少し複雑なので、ここでは、ざっくり大枠のお話をしますね。介護にかかわるサービスを使うためには、もちろんお金がかかります。でも、日本には、「介護保険制度」というのがあって、介護サービスにかかる費用を補助してくれます。これは、日本に住んでいる40歳以上の人のほぼ全員が使えます。

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安藤:そうなんですか!

太田:この制度を使うことで、実際にかかる費用の1割負担すればOK。たとえば、1万円の介護サービスを使った場合、支払いは1000円で済みます(※所得によって、2~3割の場合あり)。

安藤:ええーっ!てことは、9000円もおトクになっちゃうってことですか! おトク感半端ないっす。

太田:もう1つ。これは、「医療保険制度」についても、説明させてください。高齢になると、当然ながら、病気などで、病院にかかる頻度も高まりますよね。病院にかかったときに、実際に支払う金額は、69歳までは、子ども世代と同じ3割負担ですが、70~74歳は2割、75歳以上になると1割と、負担が軽くなっていきます(※所得によって2~3割の場合もあり)。

安藤:つまり、年齢が上がるほど、費用負担が軽くなるってことか。年を取るほど、費用の負担もきつく感じそうだし、きちんと理解しておくことで、不安が和らぎますね。

太田:さらに、介護費も医療費も人によってそれぞれ、支払い上限額というものが決まっていて、その金額を超えた部分は、戻ってくる制度があります。まずは、一定額までは自分で払わなくちゃいけないけど、後は国が何とかしてくれる、ということを覚えておいてください。

安藤:わかりました! ありがとう!日本という感じですね。

安藤 なつ(メイプル超合金) お笑い芸人

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あんどう・なつ / Natsu Ando

1981年1月31日生まれ 東京都出身。2012年に相方カズレーザーと「メイプル超合金」を結成。ツッコミ担当。2015年M-1グランプリ決勝進出後、バラエティを中心に女優としても活躍中。介護職に携わっていた年数はボランティアも含めると約20年。ヘルパー2級(介護職員初任者研修)の資格を持つ。厚生労働省の補助事業『GO!GO!KAI-GOプロジェクト』の副団長。

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太田 差惠子 介護・暮らしジャーナリスト

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おおた さえこ / Seko Ota

AFP(日本ファイナンシャル・プランナーズ協会認定)。さまざまなメディアや講演会を通して介護にまつわる情報を発信。著書に『親の介護で自滅しない選択』(日経ビジネス人文庫)など多数。

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