専門家が指摘「プーチン」にコロナ禍で起きた変化 「賢い指導者」という国民の信用は裏切られた

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2011年に仲たがいするまで顧問としてプーチンを近くで支えた政治学者のグレブ・パブロフスキーは、1時間に及んだ21日の国民向けテレビ演説でプーチンがウクライナをロシアに対する差し迫った脅威だとする、わけのわからない言葉を口走るのを見て愕然としたと話した。

「何がきっかけでそのような考えを持つようになったのか検討もつかない。とてつもなく奇妙な文書に目を通しているのだろう」とパブロフスキーは言った。「彼は孤立している。かつてのスターリン以上に孤立している」。

それでも「プーチン降ろし」は起こらない

前出のアナリスト、スタノヴァヤは、今から考えると、ここ何年かでプーチンが歴史に取りつかれるようになったことが彼の動機を読み解くカギになっていたように思うと話した。

何しろ、ウクライナ侵攻は「戦略」で説明できるような動きではない。この戦争に明確な落としどころはなく、国外の反ロシア感情に拍車をかけ、北大西洋条約機構(NATO)との対立をエスカレートさせる結果しかもたらさないのは目に見えている。

スタノヴァヤによれば、プーチン周辺の高官らはどう見てもウクライナ侵攻が実際に始まるとは考えておらず、どう対処すべきかもわかっていなかった。国営テレビの出演者とクレムリンを支持する政治家を除いては、ロシアの著名人から戦争を支持する声はほとんど上がらなかった。

しかし、だからといってプーチンに「宮廷クーデター」の危険が迫っていることにはならないとスタノヴァヤは言った。プーチンはロシア全土に張り巡らされた治安機構をがっちりと掌握し、過去1年にわたり反対派を広範囲に取り締まってきた。

「プーチンがなお、長期にわたってロシアを動かし続ける可能性はある」と、スタノヴァヤは語った。「ロシア国内では、プーチンは政治的なリスクからほぼ完全に守られているといっても過言ではない」。

(執筆:Anton Troianovski記者)
(C)2022 The New York Times Company

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