戦前製レア車両「マイテ49」「オヤ31」次の出番は? "古きよき時代"の展望車と事業用「オイラン車」

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マイテ49の車内は、製造当初の雰囲気を今なお色濃く残す。各区画は木製の壁や扉で仕切られていて、扉を開ける時のワクワク感がたまらない。客室は大きく2つに分けられており、展望デッキへと続く側には1人掛けと2人掛けのソファを設置。窓が大きく、室内とはいえ開放感がある。ふかふかのじゅうたんと、手触りのよいえんじ色のソファは、まさに「古きよき時代」という言葉がぴったりだ。

もう片側は1人掛けのソファとなっており、窓も小幅。照明器具も違っていて、こちらは落ち着いた重厚感を醸し出している。一角は大きなテーブルのあるボックスシートとなっており、半個室のような使い方ができる。

マイテ49は、そのレトロな雰囲気を生かしてSL「やまぐち号」などで何度か使われたものの、徐々に出番が減少。2017年には、マイテ49の雰囲気を受け継ぐ客車が新製された。

一方で、かつて交通科学博物館に収蔵されていたことからもわかる通り、その歴史的価値は大きく、JR西日本の「登録鉄道文化財」にも指定されている。いずれの日にか、再びしかるべき施設で末永く保存されることだろう。

「オヤ31」の役割は?

宮原支所にいるもう1両の戦前製客車は「オヤ31形31号車」という。こちらは旅客を乗せるための車両ではなく、「事業用車」と呼ばれる業務用車両の一種。新幹線の線路や架線の状態を検測する「ドクターイエロー」などと同じジャンルであるが、なかでもこのオヤ31は珍しい役割を担う車両である。

その役割とは「建築限界測定」というもの。鉄道会社が新たな路線や駅を作ったり、信号機や架線柱などを設置したりする際には、当然ながらそれらの構造物が車両にぶつからないようにしなければならない。そこで、各鉄道会社は「構造物がこの位置よりも内側(線路側)に入ってはならない」という基準を定め、これを建築限界と呼んでいる。オヤ31は、建築限界内に構造物が入り込んでいないかを確認する車両だ。

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