三菱ケミカルが本流の石油化学を大胆仕分け、リスク厭わず収益を創造《新「本業」で稼ぐ》
日本は石化の基礎原料であるエチレンで年間730万トンの生産能力を持つが、内需は500万トン前後しかなく、余剰分は輸出に回している。これまでは経済成長著しい中国向け輸出の好調が続いてきたが、低コストを武器に中東勢が中国に攻勢を仕掛けることで、あおりを食って日本勢の輸出が減るおそれがある。
日本の石化大手は「2010年問題」と呼ばれるこの問題をかねて警戒しているが、大胆な再編には至っていない。一気には変化せず、一定期間は収益を稼げるからだ。
しかし、三菱ケミカルは改革の手を緩めない。「ゆでガエルにならないように手を打つ」(石塚常務)ためだ。岡山・水島事業所ではエチレンの生産を11年4月に旭化成と統合。需要減に備える。
M&Aも積極果敢に仕掛け 売上高4・7兆円目指す
三菱ケミカルは今春、三菱レイヨンを買収して傘下に加えた。積極的なM&Aを仕掛けるのも、日本の化学大手が採ってこなかった戦略だ。11年3月期の売上高は日本の化学大手で初の3兆円を突破する見込みで「世界の強豪にも見劣りしなくなってきた」と小林社長は胸を張る。