三菱ケミカルが本流の石油化学を大胆仕分け、リスク厭わず収益を創造《新「本業」で稼ぐ》

ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
三菱ケミカルが本流の石油化学を大胆仕分け、リスク厭わず収益を創造《新「本業」で稼ぐ》

バーベイタム。国内では知名度が低いものの、DVDやCDなど記録型光ディスク市場で、TDKやソニーなどを抑え、過去5年にわたり世界トップシェアに輝く製品ブランドだ。同ブランドは記録メディアだけを手掛けてきたが、今年9月、欧州でLED(発光ダイオード)電球の販売を始めた。

日本のある企業が仕掛け人であることはあまり知られていない。三菱ケミカルホールディングス。三菱化学を中核とする持ち株会社、約2兆5000億円の連結売上高を誇る日本最大の化学企業グループである。

照明器具市場への参入は「試しに製品を出してみた」程度の話ではない。LED照明器具は順次、米国や日本など世界各地へ水平展開。2011年にも、バーベイタムブランドで有機光半導体(EL=エレクトロ・ルミネッセンス)照明器具も市場投入する。照明部材・器具を合わせた売上高は15年度で1000億円と、09年度(部材のみ)の約10倍を目指す意欲的な目標を掲げる。

LEDや有機ELといった次世代光源に収益機会をうかがう日本の化学メーカーは多いが、一般消費者向けに自社ブランド品で打って出るのは三菱ケミカルだけ。欧州を起点に取り組むのも日本メーカーでは珍しい。「部材のみの供給ならリスクは小さいが儲けも少ない。最終製品は少しでもシェアが取れればキャッシュが稼げる」と奥川隆生・三菱化学執行役員情報電子本部長は言う。

期待分野育成の一方で3000億円を捨てる

「つねに斬新でリスクに懸けることを何とも思わない集団にしたい」。三菱ケミカルは目下、小林喜光社長が描く理想像に向かって収益構造の大転換を進めている。というのも、リーマンショック以後、汎用化学品を中心に展開する新興国市場が高成長を続ける一方、高機能・環境重視型製品中心の先進国市場は低成長を強いられており、この二極化への対応が不可欠となっているからだ。

関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事