三菱ケミカルが本流の石油化学を大胆仕分け、リスク厭わず収益を創造《新「本業」で稼ぐ》
12月8日に発表する予定の新しい中期経営計画では、15年度に売上高4兆7000億円、営業利益4000億円と一段の飛躍を目指す。自力だけで果たせる数字ではなく、近年の積極投資でやや傷んだ財務基盤を1~2年内に立て直し、積極的なM&Aを再び仕掛ける算段である。
実は、三菱化学メディアの社長から本体に舞い戻って07年に経営トップに就いた小林社長をはじめ、三菱化学の露木専務、石塚常務、奥川執行役員など戦略部門のキーマンは、子会社や関連会社での勤務経験を持つ。本体で順調にエリートコースを歩んできた人材ではない。本流が築いてきた前例やしがらみを打破できるのは、本体を一度離れた傍流パワーだからともいえる。
世界の化学大手を見渡すと、独BASFや米ダウ・ケミカルは汎用化学品の巨人として君臨し、米デュポンは機能品に特化して独自の地位を築いている。三菱ケミカルは、競争力のある汎用品と、技術力で勝負する機能品の両輪で攻める道を歩む。その果実を得られるかどうかは、現在進行する収益構造転換の成否にかかっている。
(武政秀明 撮影:尾形文繁 =週刊東洋経済2010年11月6日号)
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