紳士服のAOKIで、労組と会長が批判の応酬、深まる溝

紳士服のAOKIで、労組と会長が批判の応酬、深まる溝

わずか4カ月余りで、8割以上が労働組合から脱退──。AOKIホールディングス(HD)傘下、紳士服AOKIの労組であるAOKIグループユニオンが9月9日、神奈川県労働委員会に救済申立書を提出した。会社側から、組合員への脱退勧奨や強要などの「不当労働行為」があった、との訴えだ。

6月に1640人ほどいたAOKIの組合員(全社員約4500人)は、今や230人前後まで急減。組合側は、会社による大規模な組合“脱退工作”を指摘する。一方の会社側は、「組合の無理な組織拡大によって、既存組合員にあった不満が顕在化し、自壊していった」(清水彰・AOKI社長)と説明しており、対立は先鋭化している。

一人勧誘で3000円

実は同業でも、とりわけオーナー企業の場合、青山商事やユニクロをはじめとして、社内に労組を持たないケースが多い。もともとAOKIにも組合は存在しなかった。

AOKIグループユニオンが誕生したのは2003年。同業で名古屋地盤のトリイを子会社化した際、社内にあった組合組織を引き継いでからだ。旧トリイ時代は会社側とユニオンショップ協定を結び、従業員は組合への加入が全員義務づけられていた。それがAOKIへの吸収合併を機に、従業員自身が加入・非加入を選べる、オープンショップの組合へと変わった。

同労組の組合費は正社員で、月給の1・7%に、上部団体であるUIゼンセン同盟などへの団体費1100円を加えたもの。平均で年約8万円と負担は軽くないが、組合員数は順調に増えていった。特筆すべきは、「正社員を組合に勧誘したら3000円」「パート社員なら1000円」という稀有な功労金制度が設けられ、積極的に勧誘されてきたことだ。これは今年3月まで続く。ただそんな中でも「労使関係は大きなトラブルもなく良好だった」(柴山敏郎・中央執行委員長)。

“異変”が顕在化し始めたのは今年4月である。

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