東大スーパーエリート、南京大学で学ぶ 「すき家」が日中の学生交流をサポート

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今年8月3日から24日までの3週間、TLPサマースクールに参加した学生たち。南京大学側から講義についてのオリエンテーションを受ける学生の様子

「4ターム制導入」「秋季入学の拡充」など、大学のグローバル化時代に対応する抜本的な学部教育改革を進める東京大学。国際社会で指導的役割を果たす人材の育成を目指す「グローバルリーダー育成プログラム」(GLP)の一環として2013年春、教養学部の前期課程(1・2年生)にトライリンガル・プログラム(TLP)を立ち上げた。

第3の言語として中国語を特訓、日・英・中の3カ国語を自在に操れるように鍛えるという高度な語学教育コースだ。その第1期生がこの8月、総仕上げとなる中国・南京大学でのサマースクールを終え、1年半の履修課程を修了した。担当教員、履修生にその内容、成果などを聞いた。

東大のスーパーエリートを選抜

TLP履修は実に「狭き門」だ。2013年の初年度は東大合格者の英語成績上位300人のうち第二外国語として中国語を選択した学生に募集をかけて75人が応募。さらに英語成績上位順に45人に絞られた。今年度は英語成績上位者約1割、300人弱の合格通知にTLP応募要項を添付。108人の応募者の中から英語成績上位順に58人が選抜された。東大の1学年が約3100人だからまさにスーパーエリートだ。

そもそも、なぜ中国語になったのか。カリキュラムを作成した石井剛准教授は次のように話す。

「世界における中国の存在感は増す一方だ。特にアジア地域では国際的な言語ツールとしての中国語の必要性が高まっている。したがって、東アジアに位置する日本のエリート人材がバランスのよい現実感覚を研ぎ澄ますためには、英語と中国語の双方に通じていることが不可欠な条件となる。また、長期的な視野で、日本が中国と良好な関係を保つにはエリート同士の人間関係は欠かせない。中国を通じて世界とつながって行くぐらいの発想が求められつつある」

トライリンガル・プログラムは日本語、英語に次ぐ言語を中国語だけに限定しているわけではない。条件さえ整えば、ほかの言語で開講する可能性もある。ただ、学生を「よりグローバルに、よりタフに」と改革の旗を振る浜田純一総長側からは「中国語」というのが当初からの要請としてあったという。東大が独自で進めるプログラムとして、費用は「本部経費」という東大の自前資金から捻出された。

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