東大スーパーエリート、南京大学で学ぶ 「すき家」が日中の学生交流をサポート

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総長側から打診があったのは2012年の秋ごろ。日本政府が尖閣諸島を国有化、中国各地で反日デモが起こり、日中関係がもっとも悪化した時期だ。「だからこそ、今、引き受けるべきだという使命感を感じました」と振り返る刈間文俊教授。ただ、同時にきっとうまく立ち上がるだろうという確信もあった。

10年以上前に、中国語選択者のうち能力をさらに磨きたいという学生向けに2コマ余分に履修させる「インテンシブコース」を設けた。抽選制の1クラス(定員30人)から始めたが、年々希望者が増え3クラスになった。昨年のTLP開始が刺激となり、その落選者を含む希望者がさらに増えたので今年は4クラスにした。が、何と180人もの応募があり60人を抽選で落とすほどの人気だ。

日中関係悪化で「中国語を初修外国語(第二外国語)として希望する一般学生は去年100人、今年も100人減少した」(石井准教授)というが、最悪の逆風からのスタートとなったTLPは上述のとおり、過去2回とも希望者が定員を大きく上回った。こんな時期でも「中国語をやろうというコアな学生が増えているという手ごたえがあった」と語る刈間教授は志の高い学生の多さに満足げだ。

カリキュラムは1年次には必修の基礎科目が文系・週3コマ(理系・週2コマ)、より集中的な学習をする総合科目2コマ。2年次にはコマ数が減る。特徴は20人以下の少人数クラス編成(一般は約35人)、TLP専任として招いたネイティブ教員3人が教え、2年次には総仕上げとして中国・南京大学で3週間のサマースクールを行うことだ。2014年は筆記試験で選抜された20人(TLP生以外も含む)が参加した。

牛丼のすき家がスポンサー

このサマースクールの費用は、すき家など外食チェーンを傘下に持つゼンショーホールディングス(HD)からの寄付で賄われている。ゼンショーHDは、東京大学が日本と中国の将来を担う人材育成のために南京大学と提携して行っている「東京大学・南京リベラルアーツ・学生交流プログラム」(LAP)を支援。2013年度から年間2500万円を5年間にわたり拠出する。TLPのサマースクールも学生交流の一環ということで旅費等諸経費の支援を受けている。

東京大学には別途、ベトナム国家大学ハノイ校との学術交流プログラムにも寄附をしている。ゼンショーHDは長期にわたる継続的な支援が評価され、それを顕彰する「東京大学稷門賞」を受賞。今年10月7日に行われた授賞式では浜田純一総長から小川賢太郎・ゼンショーHD会長兼社長に表彰状が手渡された。

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