医師と弁護士の「働き方」に未来はあるか? 弁護士ドットコム×メドピア 社長対談(第2回)

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石見:弁護士報酬って、自由に設定していいんですよね。だから時間当たりの生産性は弁護士のほうがいい。当然、人気があるかどうかも関係あると思いますけど、生産性は弁護士のほうが断然高いですよ。

医師はだいたい当直をすると時給1万円なんですね。あとは「寝当直」といって、病院で寝るだけの当直は1泊3万円。あとは土日ですごく忙しい場合は20万円弱。でもいくら高くてもそこが天井ですね。すごく腕のいい医師になればメチャクチャ稼げるかというと、そんなことはない。保険診療の範囲が決まっているから、たとえば僕が切っても、ゴッドハンドを持った医師が切っても同じ点数なんですよね。

元榮:報酬を自由化しようという動きはないのですか。

石見:ないですね。本当にやるなら、完全に自由診療にしないといけない。だから今のところ、どんなに技術を研鑽しても給料は変わらない。それなのに、ひたすら職人のように頑張っている日本の医師を尊敬していますし、みなさんにそのことを知ってほしいと思っています。

――医師の皆さんは、そのことに不満の声を上げたりしないんですか。

石見:日本人の国民性かもしれませんが、あまりそこに不満を感じないんですよね。弁護士さんはどうかわかりませんが、やっぱり自分が治療することで、目の前で死にかけている人が元気に帰っていくことの喜びに比べれば、おカネは二の次になるんですよ。

元榮:患者さんはめちゃくちゃ感謝してくれますからね。経済的なこと以外に、ご褒美があるということですよね。

――弁護士は感謝されますか。

元榮:弁護士は一般的に弁護士資格を取ると、まずは先輩弁護士の弁護士事務所で働くことが多いのですが、何年かキャリアを積めば独立したり、企業内弁護士になることもできる。でもいったん働き始めると、ほかの選択肢を考えないことが多い。依頼者からとても感謝いただけて非常にやりがいがあるので、それに夢中になってしまうのだと思います。

石見:自分は今、週1回だけ診察をやっているんですよ。僕の場合は患者さんと直接、触れ合うことで、サイトにいい影響があると思っているので。やっぱり患者さんから「先生ありがとう」と言われると、非金銭的なインセンティブがありますね。(次回に続く)

(構成:長山清子)

吉川 明日香 東洋経済 編集者

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よしかわ あすか / Yoshikawa Asuka

早稲田大学商学部卒業後、2001年に東洋経済新報社に入社。記者として食品、建設、精密機械、電子部品、通信業界などを取材し、『週刊東洋経済』や『会社四季報』等に執筆。2度の産休・育休を経て復帰。2012年秋の東洋経済オンラインリニューアルより、同編集部。2016年4月から東洋経済オンライン副編集長、2020年10月から東洋経済オンライン編集長。2023年4月より編集部担当部長。

 

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